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第148期
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新聞THE TREDIA SHIMBUN
トレーディア暦3年2月第1週
冬季
本日10面
主な記事帝都の門前で帝国歩兵が玉砕カペレナ、黒潮の農場を奪い食糧5万トン 黄砂の一隊、北の丘で全滅火災8か所で3万4,900人弾薬・工業品が続落国特集 白波王国
総合三つの前線で崩れる守備 帝都の門前に玉砕1

帝都の門前で帝国歩兵が玉砕
カペレナは黒潮の農場を奪い、黄砂は北の丘で一隊を失う

主要都市の陥落はなし 各地で守備隊が全滅、食糧と兵站が奪われる

雪の残る帝都の城門前に横たわる装備と、進み出る山岳兵の列
帝都アルガリストの門前では帝国の一隊が全滅し、泰平の山岳兵が城門に迫った。冬の前線は、都を落とさぬまま守備兵をすり減らしている。

第148期、どの国の首都も名のある都市も新たには落ちなかった。しかし戦況が静かだったわけではない。セントラ大陸では泰平天国が帝都アルガリストの門前で帝国の守備部隊を全滅させ、北方ではカペレナ王国が黒潮自治国の農場を奪って食糧5万トンを徴発、北の丘でも黄砂同盟の一隊がオリョルッル王国の砲火で全滅した。都市の旗は変わらずとも、守備兵と糧が削られる期となった。

泰平軍はアルガリスト帝国の帝都に隣接する地点で、帝国第4軍の歩兵部隊を攻め、これを全滅させた。さらに都の東に広がる森の兵站基地を占領し、そこに蓄えられていた予備兵1,000人が投降した。帝都そのものは今期も帝国の手にあるが、都を守る兵の供給源が一つ断たれた形である。帝国は停戦を打診し続けているが、泰平はなお攻勢をゆるめていない。

北方の谷あいでは、カペレナ王国が黒潮自治国の農場を占領し、蓄えられていた食糧5万トンを奪った。黒潮は近隣の二つの地点で守備部隊を相次いで失っており、首都アルヴェナを抱えた谷の防衛線は細りつつある。王国は記者クラブで「黒潮残党はふたたび逃亡し、王国軍は北へ進んで農場に入った」と戦況を誇示した。一方、今期はカペレナ国内でも工場が火災で全壊した。王国政府は「黒潮の工作員による放火の疑い」と述べたが、具体的な証拠は示していない。

さらに北の丘陵では、オリョルッル王国の砲兵と歩兵が黄砂同盟の第3方面軍歩兵を包囲し、これを全滅させた。黄砂もただちに同じ丘へ部隊を置き直したが、広大な版図と兵力を誇るオリョルッルに対し、国力で大きく劣る黄砂の守勢は変わらない。

帝国は補充の拠点を、黒潮は食糧の備えを、黄砂は丘を守る一隊を失った。各国の停戦打診に応じる動きはなく、次期も拠点をめぐる攻防が焦点となる。

移民2件、2つの国へ3万4,700人

藍岬共和国連邦から桃谷連邦共和国へ1万9,400人、青海共和国から胡椒帝国へ1万5,300人が、仕事を求めて移り住んだ。桃谷の人口は11万4,800人に、胡椒は12万6,000人に増えた。胡椒ではこの受け入れで働き手の不足が解消している。詳報は5面。

戦況セントラ戦線 帝都アルガリスト2

帝都の門前で第4軍歩兵が玉砕
泰平、東の兵站基地も奪い予備兵1,000人投降

今期の戦果は泰平4,100人、帝国600人 帝国はなお停戦を打診

アルガリスト戦線の北側と南側を横並びにした戦況図
アルガリスト戦線。北側では東の森の兵站跡が泰平領となった。南側では帝国領の港(46,42)に進出した泰平第26軍山岳兵が、隣の帝都(47,42)にいた帝国第4軍歩兵を全滅させた。

泰平天国軍は第148期、アルガリスト帝国の帝都に隣接する地点で、帝国第4軍の歩兵部隊を攻めて全滅させた。帝都アルガリストの城門のすぐ外での玉砕であり、都を守る最前列の一角が崩れた。帝都そのものは今期も帝国領にとどまっている。

泰平軍はさらに、帝都の東に広がる森の兵站基地を占領し、そこに蓄えられていた予備兵1,000人の投降を受けた。兵站基地は前線へ兵を送り込む後方の要であり、これを失った帝国は、消耗した部隊を埋める手立てをまた一つ狭められた。

泰平の砲兵と山岳兵は帝国の山岳兵に攻撃を重ね、帝国側に損害を与えた。今期、相手に与えた損害は泰平が4,100人、帝国が600人。開戦以来の累計は泰平9万9,400人、帝国2万6,000人に達した。玉砕した部隊の人数はこの戦果には算入していない。

帝国は今期も泰平へ停戦を打診している。打診はこれで続けて記録されたが、泰平は応じる構えを見せず、帝都の周囲を一つずつ削る攻勢を続けている。兵站を断たれ、門前の守備隊を失った帝国が、都をどこまで守り抜けるか。都市の陥落という派手な決着はないまま、帝都の防衛は確実に細っている。

泰平天国と帝国(相手に与えた損害)
泰平・今期4,100人
帝国・今期600人
泰平・累計99,400人
帝国・累計26,000人
兵站基地泰平が占領・予備兵1,000人投降
帝都帝国が保持
戦況論説 門前の勝利が意味するもの

帝都は落ちていない。それでも今期、帝国は都の門前で一個部隊を失い、後方の兵站と予備兵千人を一度に奪われた。泰平は、都を正面から攻める一方で、守備部隊を支える兵站にも手を伸ばしている。東の兵站を失ったことで、帝都周辺の部隊を補充する道はさらに狭まった。

帝国が停戦を打診し続けているのは、この消耗に耐えられぬ現実の裏返しだろう。だが打診は相手が応じて初めて意味を持つ。攻勢の手応えをつかんだ泰平が、いま矛を収める理由は乏しい。帝国は抗戦と停戦交渉を並行させている。しかし戦闘が長引くほど、都市と港を守る兵力が削られていく。

戦況北方戦線 黒潮の谷と北の丘3

カペレナ、黒潮の農場を奪い食糧5万トン
谷の守備隊二隊が全滅

北の丘では黄砂の一隊がオリョルッルの砲火で玉砕 両戦線とも攻める側は停戦に応じず

黒潮の谷と北の丘を横並びにした戦況図
左は黒潮の谷。首都アルヴェナは残り、東の農場はカペレナ領となった。右は北の丘。黄砂の歩兵が全滅し、丘の下の海底油田は黄砂領のままである。

カペレナ王国軍は第148期、黒潮自治国の農場を占領し、蓄えられていた食糧5万トンを徴発した。黒潮はこれに前後して、谷あいの二つの地点で守備部隊を相次いで失っている。西岸に移った首都アルヴェナへ通じる谷の防衛線は、糧と兵の両面で痩せ細りつつある。

今期、相手に与えた損害はカペレナ側が1,000人、黒潮側が300人。累計はカペレナ19万2,700人、黒潮12万2,700人となった。谷の空を守る黒潮の空兵がカペレナの山岳兵へ攻撃をかけたが、反撃で逆に大きな損害を受けている。全滅した二隊の人数は戦果には含めていない。

カペレナは記者クラブで「黒潮残党はふたたび逃亡し、王国軍は北へ進んで農場に入った」と表明した。黒潮を「残党」と呼ぶ王国の物言いには戦意の誇示がにじむが、西岸に移された首都アルヴェナは今期も黒潮領にあり、王国が呼ぶ「残党」はなお国を守っている。

北の丘、黄砂の一隊が全滅

北方のもう一つの前線では、オリョルッル王国の砲兵三隊と歩兵二隊が、北の丘に布陣した黄砂同盟の第3方面軍歩兵を包囲し、これを全滅させた。今期、相手に与えた損害はオリョルッル側が6,500人、黄砂側が800人。累計はオリョルッル1万4,600人、黄砂5,500人。黄砂はただちに同じ丘へ部隊を置き直し、南の都市でも新たに兵を募った。丘の下の海底油田はなお黄砂領にあり、統治の安定も回復に向かう。王国との国力差が大きいなか、丘の守備を建て直せるかが油田防衛にも関わる。

黒潮戦線も北の丘も、攻めるカペレナとオリョルッルは停戦の打診に応じていない。守る黒潮と黄砂は、都と拠点を抱えたまま、部隊と糧を一つずつ削られている。都市を落とす決着を避け、相手の体力を奪う戦いが、冬の北方で続いている。

北方の二戦線(相手に与えた損害)
カペレナ・今期1,000人
黒潮・今期300人
カペレナ・累計192,700人
黒潮・累計122,700人
農場カペレナが占領・食糧50,000トン
オリョルッル・今期6,500人
黄砂・今期800人
戦況論説 五万トンの重み

奪われた五万トンの食糧は、戦果表の数字には載らない。だが谷に暮らす人々にとって、これは兵の損害以上に重い一撃かもしれない。冬の谷で、都を養う糧の備えが一度に削られたのだから。農場を失えば、次に収穫される食糧も黒潮の手には入らない。残る備蓄をどう運び、谷と新首都の住民を養うかが、冬の黒潮に重くのしかかる。

国際丹城の攻防と、積み重なる停戦打診4

朱川の首都・丹城、守備隊が再び全滅
オラニウムの攻勢つづく

首都は朱川領のまま 朱川の空兵は装甲兵に反撃 開戦国どうしの膠着続く

丹城周辺の北側と南側を横並びにした戦況図
丹城周辺。北側では首都の守備隊が全滅し、東隣にオラニウムの装甲兵が進む。南側では朱川の空兵と歩兵が反撃を続けている。

オラニウム連邦軍は第148期、朱川共和国の首都・丹城を攻め、守備にあたっていた歩兵部隊を全滅させた。丹城で朱川の一隊が全滅するのは続いての事態だが、首都そのものは今期も朱川の手にとどまっている。朱川は川べりの空兵がオラニウムの装甲兵へ反撃し、相手に損害を与えて踏みとどまった。先の丹城・紅泉などへのミサイル攻撃で一般市民42,500人を失った朱川は、首都の防衛にも兵を送り続けている。

今期、相手に与えた損害はオラニウム側が1,400人、朱川側が3,300人。開戦以来の累計戦果は双方10,200人となった。首都を守る歩兵が続けて全滅し、朱川は部隊を送り直しながら防衛線を支えている。攻めるオラニウムが守備隊を削る一方、朱川も反撃で応じ、首都を抱えた攻防は一進一退のまま冬を越そうとしている。

停戦打診、応じられぬまま積み上がる

今期も各地の停戦交渉に進展はない。帝国は泰平へ、黒潮はカペレナへ、黄砂はオリョルッルへ、それぞれ停戦を打診し続けている。朱川もオラニウムへ打診を出した。だが攻勢に手応えを得た国が、いま矛を収める気配はない。停戦の求めだけが積み重なり、前線はどこも動きを止めない。

一方、世界の国々はいくつかの陣営に分かれている。なのです・青海・黒潮の同盟軍、あろあろ・カペレナ・黄砂の連合軍、白波の帝国軍、山あいの五か国からなる王国軍、谷と湖の五か国が集う連邦軍。ただし陣営の線引きと、実際にどの国とどの国が戦火を交えているかは、必ずしも一致しない。たとえば同じ連合軍のカペレナと、同盟軍の黒潮が北の谷で撃ち合い、連合軍のカペレナと同盟軍の青海もまた交戦関係にある。陣営は旗印であって、前線の現実はそれより入り組んでいる。

オラニウムと朱川(相手に与えた損害)
オラニウム・今期1,400人
朱川・今期3,300人
累計双方10,200人
首都丹城朱川が保持
停戦打診帝国・黒潮・黄砂・朱川が継続
国際論説 停戦を求める側と、応じない側

停戦の打診が四つの前線で積み上がった。求めているのはいずれも守勢に立つ側である。攻める側は前線での優勢を手放さず、停戦の申し入れを受け入れていない。停戦とは本来、双方が矛を収めてこそ成る。帝国には首都へ続く補給路、黒潮には新首都の糧、黄砂には油田、朱川には丹城の守備という譲れぬ事情がある。戦場で残された土地と人をめぐる条件が折り合わなければ、打診の回数だけでは砲火は止まらない。

社会冬の火災と、国境を越える人々5

4か国8か所で火災、3万4,900人が犠牲
白波・チェス・なのです・泰平で相次ぐ

都市と町の犠牲は14期累計73万7,800人 カペレナでは工場が全壊

雪の残る街並みで、桶を手渡しながら消火にあたる住民
雪の残る街路で火の手が上がり、住民は桶を手渡して消火にあたった。

第148期、白波王国・チェス=シロバキア共和国・なのです主義人民共和国・泰平天国の4か国で火災が相次ぎ、合わせて8か所の都市と町で3万4,900人が犠牲となった。焼けた街路では消火と片付けが続き、住民は冬の寝床と仕事場を失った。戦火の報道が続く陰で、炎もまた前線の外で人々の暮らしを削っている。

被害が最も大きかったのはなのですで、三つの都市と町で合わせて1万3,800人。チェスでは一つの都市と二つの町で1万1,600人、白波の都市で5,300人、泰平の町で4,200人が犠牲となった。焼けた通りには家財を抱えて立ち尽くす住民の姿があり、使える木材を集めて家を建て直す作業が始まっている。

北方のカペレナ王国では工場が火災で全壊した。王国政府は「黒潮の工作員による放火の疑い」を唱えているが、具体的な証拠は示していない。黒潮領の農場を占領した一方、自国では生産の拠点を一つ失った。

社会論説 冬を越す備えを

戦況の見出しが紙面を埋める一方で、今期も三万人を超える住民が火災で犠牲となった。前線から遠い町でも、火災は住民の命と住まいを奪う。各国には、勝敗の計算と同じ熱量で、焼けた町へ水と食と寝床を届ける仕事を求めたい。都市を守るとは、城門を守ることだけではない。そこに暮らす人々の冬を守ることでもある。

第148期の国別火災犠牲と14期累計のグラフ
第148期の火災犠牲。4か国8か所で34,900人が死亡し、14期の累計は737,800人となった。

二つの国へ、仕事を求め3万4,700人

藍岬共和国連邦から桃谷連邦共和国へ1万9,400人、青海共和国から胡椒帝国へ1万5,300人が移り住んだ。桃谷の人口は11万4,800人、胡椒は12万6,000人となった。胡椒ではこの受け入れで、これまで続いていた働き手の不足が解消した。

戦争をしていない国どうしの間でも、人は仕事を求めて動いている。胡椒では新しく移り住んだ働き手を受け入れ、仕事場の人手不足を解消した。桃谷でも住まいと働く場所の確保が急がれる。二国から出発した人々の新しい暮らしが始まった。

第148期の火災
なのです・3か所13,800人
チェス・3か所11,600人
白波・都市5,300人
泰平・町4,200人
合計34,900人
カペレナ工場火災で全壊(別掲)
経済相場と交易 冬の市況6

弾薬・工業品がそろって続落
戦火は続くも、軍需の相場は冷える

弾薬は77.99、工業品は57.38へ 資源6品目は横ばい 貿易量はなのです首位

今期落札した競売4件と弾薬・工業品相場の推移
今期落札した4件と、弾薬・工業品相場の推移。木材・石材・燃料の3口は今期の落札4件に含まれなかった。

第148期の世界相場は、弾薬が前期の79.76から77.99へ、工業品が58.11から57.38へと、いずれも値を下げた。各地で戦争が続くなかでの軍需品の続落である。燃料・石油・鉱石・鋼鉄・石材・木材の主要6品目は前期と変わらなかった。前線は止まらないのに、戦争に直結する弾薬の相場が冷えている。一方、今期締切の競売では工業品二口がともに700億円で落札され、相場と入札価格の動きには開きがあった。

貿易はなのです突出、海運は青海が最長

民間の貿易量は、なのです2万3,895で群を抜いた。カペレナ1万5,540、あろあろ1万4,337が続く。外洋の航海距離では青海が614で最も多く、黒潮307、なのです54が続いた。撃沈数ではカペレナが4隻で首位、青海2隻、黒潮1隻。航海距離では青海が抜きん出る一方、民間貿易量ではなのです首位を保った。

競売、工業品は狐っ娘が高値で落札

先の競売では、工業品二口を狐っ娘の尻尾教団がいずれも700億円で、石材を胡椒帝国が536億円で、鉱石を青海が536億円で落札した。木材・石材・燃料の3口は今期の落札4件に含まれなかった。新たに出品された7口は第154期が締切となる。

海運保険、今期の支払いはゼロ

中立の金融窓口が扱う海運保険は、今期の保険料収入が74.446億円で、保険金の支払いはゼロだった。利息の半分に当たる416.110億円を加え、今期は490.556億円を払い戻した。累計の払戻額は973.504億円に達した。民間銀行の手元現金は1,135億円で、貸し出せる余力は39億円にとどまる。

資源の現場では、二か所の鉱山・油田で落盤が起き、いずれも採掘の段階が下がった。一方で別の油田は資金と資材を投じて段階を一つ引き上げている。掘る国と、崩れる国と。地下の富をめぐる明暗も、冬の経済に影を落とす。

主要商品の相場
弾薬79.76→77.99
工業品58.11→57.38
燃料・石油・鉱石6.8/7.2/4.8(横ばい)
鋼鉄・石材・木材12/5.6/3.2(横ばい)
交易と海運
貿易量なのです23,895/カペレナ15,540/あろあろ14,337
航海距離青海614/黒潮307/なのです54
撃沈数カペレナ4/青海2/黒潮1
経済論説 冷える弾薬相場が映すもの

戦争が各地で続くなか、弾薬と工業品の世界相場は二期続けて値を下げた。ところが競売では工業品二口がいずれも700億円で落札された。世界で示される相場と、必要な品を手に入れようとする国々の入札価格には違いがある。戦争を続ける国ほど、手元の資金と物資をどこへ振り向けるかが問われる。

気象・海事冬の空と第149期の天気予報7

曇り広がる冬空、雪は167区画へ
各地に初雷、北の海では漁と造船が動く

晴れは減り曇りが最多 遠洋の漁場16か所 沿岸では軍港づくりが相次ぐ

第148期の世界の天気図
第148期の世界の天気図。冬季のため台風警戒地域は表示していない。雪は167区画へ広がり、南西の一角で冬の雷も記録された。

第148期の世界は曇りが4,646区画で最も広く、晴れは2,535区画へ減った。雨は747区画、雪は167区画へと広がり、冬の深まりを示している。南西の一角では冬の雷も記録された。

世界の天候 第148期(前期比)
晴れ2,647→2,535(−112)
曇り4,678→4,646(−32)
雨635→747(+112)
雪140→167(+27)
雷0→5(+5)
第149期の天気予報(予想)
第149期の天気予報(予想)。第147期から第148期の雨・雪域の動きを延長した。確定予報ではない。

第149期の天気予報 高緯度の雪と中緯度の雨が続きやすい

雪は前期の140区画から167区画へ増え、雨も635から747へ広がった。前期比の動きを外挿すると、第149期も南北の縁で雪が残りやすく、中緯度では曇りを中心に雨域が点在する冬型が見込まれる。今期の雷は南西の一角にとどまった。

遠洋漁場16か所、操業は12

世界の遠洋共有漁場は16か所、合わせて118区画で、前期と同じ広がりを保った。このうち操業中は12か所で、潮目と寒流沿いの4か所は休漁に入っている。冬の海は漁場の実りも細り、満載で帰る舟もあれば、網を下ろせぬまま戻る舟もある。港には、水揚げを待つ人の列と、凍えた手を温める湯気が立つ。

沿岸で軍港づくり相次ぐ 中立の海に魚雷の航跡

この冬、各地の沿岸で造船と軍港づくりが相次いだ。金野・なのです・シンジケート・黒潮・朱川がそれぞれ船を起こし、黒潮と朱川は養殖場を取り払って軍港の用地に充てた。糧を生む養殖場を軍港に替える選択に、戦時の優先順位がにじむ。一方、どの国にも属さぬ中立の駆逐艦が二か所で魚雷を放ち、うち一発が泰平天国の商船に命中し、損傷1を与えた。船のHPは4から3へ下がった。戦争の当事者でない海にも、火の粉は飛んでいる。

海事小論 養殖場を軍港に替える冬

黒潮と朱川では、養殖場だった水面に軍港ができた。港に働く者にとっては軍艦の建造や補給という新たな仕事が生まれる一方、そこで魚を育ててきた人々は別の漁場を探さねばならない。戦時の造船を急ぐ国が、失われた漁業の働き場をどう補うか。沿岸の暮らしにも戦争の選択が及んでいる。

入門第38回 農場整備と食料の基本8
通常の農場、早い農場、働き手と二つの倉を示す手順図
農場整備の手順。働き手は畑が先に取り、民間の倉と国の倉は別である。

第38回 農場を整えて食料を確保する
働き手は畑が先に取る

通常の農場は20億円で1期 早い農場は180億円 民間の倉と国の倉は別

戦時にも平時にも欠かせない食料を支える農場。今回は、農場の整備方法と働き手の配分、住民の食卓へ回る食料と国の備蓄の違いを扱う。

1 農場を置く場所

通常の農場は、費用の目安が20億円、整備に1期かかる。規模は1万人から6万人まで選べ、大きいほど多くの食料を生むが、それだけ多くの働き手が要る。置きたい区画か、その隣に、自国の陸か港があることが条件だ。海に浮かぶ艦は「隣」には数えない。

2 早い農場

もう一種類、期を使わずに建つ農場があり、費用の目安は180億円。こちらは自国の土地にしか置けない。他国の農場を増設できた場合は、その土地の領有も移る。

3 働き手は農業が優先

働き手は農場へ優先的に配分され、残りが工場や市場へ回る。農場を増やすと、その分だけ先に農業へ人手が割り当てられる。人口が少なく農場に必要な働き手も足りなくなれば、食料生産が落ち込む。住民の食料が尽きれば、町の人口が減ることもある。

二つの倉を混同しない 住民の食卓へ回る「民間の食料在庫」と、国が抱える「国の備蓄」は別の倉である。国全体では食料があっても、民間の倉が空なら、住民の食卓には届かない。今期、黒潮は農場を奪われ食糧5万トンを徴発された。国の蓄えを失うことは、配給が必要になったときの備えを失うことでもある。

次回予告 第39回「食料の輸送と備蓄」

農場整備の基本
通常の農場20億円・1期・規模10,000〜60,000人
早い農場180億円・期を使わない・自国の土地のみ
置く条件その区画か隣に自国の陸か港(海の艦は数えない)
働き手農業が工場・市場より優先
倉の別民間の食料在庫と国の備蓄は別
国特集白波王国 川に生きる造船の都9

テルノア、川霧に槌の音
白波王国、造船と交易の冬を歩く

首都テルノアは晴れ 人口26万2,300人 川上の乾燥場から届く板、桟橋の朝市

川沿いの造船所。船台に組まれた船体と、朝市でにぎわう桟橋
テルノアの川岸では、船台に組まれた船体の脇で朝市が立つ。槌の音と魚を売る声が、冬の川霧に溶けていた。

川沿いの造船と交易を誇る白波王国。その首都テルノアは、冬の晴れ間の下にあった。川岸の造船所では朝から槌が鳴り、船台に組み上げた骨組みへ外板を張る作業が進む。すぐそばの桟橋では朝市が開き、仕事へ向かう職人と買い物客が行き交っていた。白波は「川沿いの造船と交易の王国」を自ら名乗り、礼儀と商才の両立を誇る土地である。

造船所には、川上の乾燥場から運ばれた木材が積み上がる。船大工は一本ずつ反りや傷を確かめ、船体に合う板を選ぶ。「板は一本ずつ癖が違う。無理に曲げれば、あとで船に障る」。若い職人はそう言って、外板の位置を測り直した。完成した船を川へ送り出すまで、造船所には骨を組み、板を張り、綱を繕う無数の手仕事がある。

桟橋の朝市、白身魚と川魚のパイ

桟橋近くの市には、白身魚、川魚を包んで焼いたパイ、砂糖菓子、紅茶が並ぶ。川魚のパイは、この土地ならではの庶民の味だ。「職人さんは朝が早いからね。仕事前にパンとパイを買っていく人が多い」と、市の女将が笑う。値を尋ねた客に、商人が澄ました顔で「それは少々、王都価格ですね」と返すのも、見栄と商才の同居するこの街らしい一幕である。

火災の影、それでも動く港

白波も今期、都市のひとつが火災に見舞われ、5,300人が犠牲となった。火災に遭った街では、被害を受けた人々が家と仕事場を立て直している。それでも港は止まらない。前期、朱川から5万3,900人を迎えたことで、王国の働き手不足は大幅に縮小した。造船と交易を回す人手が戻りつつあることは、焼けた街を立て直す力にもなるだろう。川霧の向こうで、きょうも船台の槌は鳴り続けている。

白波王国
首都テルノア
天気晴れ
人口262,300人
兵力39,000人
食料2,386,400トン
産業造船・交易
文化・遊び体育館の熱気、湖畔の読書会10

相馬凪、子どもたちと即席試合
潮騒体育館に歓声、白波の未来を担う子ら

造船の街に育つフットサル熱 仕事帰りの職人が席を埋める

屋内競技場で球を追う選手と、観客席を埋めた人々
潮騒体育館の公開練習。造船所帰りの職人や子どもたちが、床を滑る球の行方を追った。

白波港の倉庫街にある潮騒体育館では、地元のフットサルクラブ「白波シーグラス」が冬の公開練習を開いた。前期の紅白戦に続いて、今期は練習後に子どもたちとの即席試合が行われた。仕事帰りの職人や家族連れが集まった三千九百席の観客席からも声援が飛んだ。

この日、一番の歓声を集めたのは、昨季の大会で最優秀選手に選ばれた相馬凪だった。昼は造船所で船を組み、夜は体育館で球を蹴る24歳。練習後、集まった子どもたちと即席の試合に加わり、わざと転んでは笑いを誘った。「板を打つのも、球を蹴るのも、相手をよく見るのは同じですよ」。汗を拭いながらそう語る姿に、観客席から拍手がわいた。造船の街は、船だけでなく、こうした若い担い手も育てている。

湖陽の読書会、冬の一冊を語る

翠湖自治州の首都・湖陽では、翡翠色の湖のほとりで冬の読書会が開かれた。今期の一冊は、無署名の短編『冬の舟番』。湖の渡し場で客の名前を帳面につける少女と、毎朝最初の舟に乗る魚売りの老女の物語だ。

濃霧の朝、老女はいつもの船着き場に現れない。少女は空いた席を数え、帳面の余白に小さな印を残す。夕刻、老女の孫が代わりに魚籠を抱えて渡しへ来る。少女は事情を問いたださず、新しい客の名前を丁寧に書き入れる。「来ない人の席まで数えているところがいい」と、読書会の参加者が話した。別の読者は、最後に少女が湖の向こう岸を眺める場面を挙げ、「舟を待つ時間まで伝わってくる」と評した。

文化余録 静けさを選ぶ冬

体育館では子どもたちが相馬凪を追って走り、湖陽の読書会では一冊の本を囲んで舟と霧の話が交わされた。戦況がどれほど激しく動いても、港と湖畔の人々は、仕事の終わりに集まり、語り合う時間を持っている。