夕刊
第143期
トレーディア新聞社
定価 無料
トレーディア
新聞THE TREDIA SHIMBUN
トレーディア暦2年12月第4週
冬季
本日10面
主な記事首都アルガリスト陥落アルヴェナに艦砲 3か国で火災海運保険を公開銀嶺の坂を歩く藍岬で競漕
総合首都アルガリスト陥落1

泰平軍、首都アルガリストを占領
帝国はヴァルセナで抗戦継続

首都守備の山岳兵全滅 政府機能はヴァルセナへ 帝国兵力16,400人

首都アルガリストから退く人々
泰平軍に占領された首都アルガリスト。官印と星図が、東隣のヴァルセナへ運び出された。

泰平天国軍は第143期、アルガリスト帝国の首都アルガリスト(47,40)を占領した。首都区画を守っていた帝国山岳兵は全滅。帝国は滅亡せず、東隣の大都市ヴァルセナ(48,40)など26区画を保ち、抗戦を続けている。

第142期、泰平軍は首都西隣の町を占領し、食料50,000トンを徴発した。第143期には北の砲兵3隊が守備隊を集中攻撃し、山岳兵と装甲兵が首都の市街へ進入した。帝国軍も反撃したが、今期の戦果は泰平5,600人、帝国1,100人。兵力は泰平707,000人に対し帝国16,400人となった。

星書宰相、官印と星図をヴァルセナへ 統治の継続図る

星書廉宰相は、首都の学院に残る官印と星図を東隣の大都市ヴァルセナへ運ばせた。帝国は首都を失ったが、なお26区画を領有し、政務と抗戦を続ける。「都を失った事実は覆せない。だが帝国の名まで門に置いてはこなかった」と星書。学院では司書が持ち出せない蔵書の目録を作り、避難する荷車には帳簿から積み込んだ。

働き手24,200人不足 残る都市の維持に重荷

帝国の人口は67,800人、働き手の不足は24,200人。ヴァルセナの市場や鉱山、兵站を維持するには、前線での戦闘とは別に人手が要る。今期予定していた(47,42)での徴兵も、その地点を泰平軍が占領したため中止された。帝国は国庫16,592億円、食料1,321,200トンを保つが、首都と兵を失った負担は大きい。戦闘の詳細は2面。

アルヴェナに艦砲命中 住民200人が犠牲

カペレナ王国の戦艦が黒潮自治国の首都アルヴェナ(20,17)を砲撃し、住民200人が死亡した。首都区画の黒潮部隊は全滅した一方、王国軍も隣接地で一部隊を失った。今期の戦果はカペレナ9,200人、黒潮600人。詳報3面。

火災48,500人 なのですの工場も壊滅

チェス=シロバキア、なのです、泰平の3か国で火災が相次ぎ、計48,500人が死亡した。なのですでは工場1か所も壊滅。第135期から9期の累計は420,700人となった。詳報4面。

戦況アルガリスト戦線2

泰平軍、砲撃後に首都へ進入
首都を守った帝国山岳兵全滅

北の砲兵3隊が集中射撃 南側では帝国軍が反撃

北側と南側、横長の凡例を並べた泰平とアルガリストの戦場
首都アルガリスト周辺。北側の砲撃陣地と、首都から南の戦線を横並びにした。ヴァルセナは首都の東にある。

泰平軍は首都北方に砲兵3隊を並べ、帝国山岳兵へ三度の射撃を重ねた。砲撃の後、山岳兵と装甲兵が市街へ進入した。南側でも両軍が交戦し、帝国山岳兵は反撃を試みたが、首都を守る部隊は全滅した。前期まで帝国領だった首都区画(47,40)は泰平軍の支配下に移った。

侵入した泰平軍に対人ミサイル 帝国兵も負傷

帝国軍は自国の兵站基地(47,41)に侵入した泰平軍を狙い、対人ミサイルを発射した。敵兵と同じ区画にいた帝国兵も爆発に巻き込まれ、多数が負傷した。自国領への攻撃は敵軍を追い払うためだったが、味方にも損害が及んだ。

南へ伸びる泰平軍 ヴァルセナはすぐ東

泰平軍の山岳兵は首都南側でも帝国山岳兵と交戦し、装甲兵は(47,42)へ進んだ。帝国はこの地点で予定していた徴兵を実施できなかった。首都東隣のヴァルセナにはなお帝国の拠点が残る。次に泰平軍がどの方向へ攻勢を広げるかが焦点となる。

兵力差43倍 それでも帝国は残る

泰平の兵力707,000人は帝国16,400人の約43倍。泰平は人口711,500人、領地208区画を有する。帝国は首都を失っても26区画と大都市ヴァルセナを保ち、降伏していない。首都を占領した泰平軍は、なお帝国領の大都市ヴァルセナの西隣に迫っている。

首都攻防の主な動き
北方泰平砲兵が帝国山岳兵へ3回射撃
南方泰平山岳兵・装甲兵が前進、帝国軍が反撃
兵站(47,41)帝国軍が自国施設へ対人ミサイル
(47,42)泰平装甲兵進出、帝国の徴兵中止
首都(47,40)帝国山岳兵全滅、泰平軍が占領

国別の今期戦果は泰平5,600人、帝国1,100人。個別の戦闘記録を単純に足し合わせず、国別の集計値を掲げた。

戦果の累計
泰平天国81,000人
アルガリスト帝国23,200人
本紙社説 首都の看板より住民を守れ

泰平軍はアルガリストを占領した。帝国はなお存続するため、戦争は続く。占領者がまず示すべきは勝利の飾りではなく、市場を開く時刻、避難路、負傷者を運ぶ道である。

兵站へ侵入した泰平兵を狙ったミサイルで、帝国兵にも負傷者が出た。首都を取り戻すと訴える帝国政府には、ヴァルセナへ退いた人々の住まいと食料を確保する仕事も残っている。

戦況黒潮・カペレナ戦線3

カペレナ海兵、アルヴェナ市街へ進入
黒潮守備隊全滅、住民200人死亡

戦艦の砲弾が首都に着弾 カペレナ側も一部隊失う

北側と南側、横長の凡例を並べたカペレナと黒潮の戦場
アルヴェナ周辺の戦場。北側の都市群と、首都から沖合までの戦線を横並びにした。

カペレナ王国の戦艦は(22,19)から黒潮自治国の首都アルヴェナ(20,17)へ艦砲射撃を行い、住民200人が死亡した。首都区画の人口は2,000人から1,800人に減少。陸戦では同区画の黒潮守備隊が全滅し、カペレナ海兵が進入した。黒潮自治国はなお領地19区画を保ち、首都市街で抗戦を続けている。

首都に隣接する(21,17)ではカペレナ軍の一部隊が全滅した。黒潮は同地点へ対人ミサイルを撃ち込み、多数を負傷させている。今期の戦果はカペレナ9,200人、黒潮600人。累計はそれぞれ187,600人、121,700人となった。黒潮は守備隊を失った一方、王国軍にも損害を与えている。

潮見議長「門を越えた軍を押し戻す」

潮見玄吾議長は地下の指揮所で声明を読み上げた。「砲弾が市街へ落ち、守備隊を失った。飾った言葉で軽くできる損害ではない。アルヴェナの門を越えた軍を押し戻す。港へ退いた者も、残った者も、ここを自分たちの町と呼び続ける」

潮見議長は前期にも徹底抗戦を表明し、和平交渉に先立つ攻撃停止を求めていた。停戦に至らないまま、第143期も首都に砲弾が落ちた。

カペレナ、王都で祝勝行事を発表 戦闘続く黒潮

カペレナ政府は「黒潮残党征伐軍」の組織開始と、王都での祝勝パレードを発表した。一方、黒潮政府は抗戦を継続し、王国軍も(21,17)で一部隊を失っている。市街で戦闘が続き、王国側にも死者が出る中、帰還兵の家族からは「終わった戦いのように扱わないでほしい」との声が上がった。

黒潮自治国
首都アルヴェナ
人口16,200人
兵力18,000人
領地19区画
国庫10,339億円
食料566,800トン

西の森林を整地 木材400,000トン

黒潮政府は西部の森林(12,14)を整地し、木材400,000トンを国庫へ収めた。首都での戦闘が激しくなる一方、離れた領地では資材確保の作業が続いた。

今期と累計の戦果
カペレナ今期9,200人
黒潮今期600人
カペレナ累計187,600人
黒潮累計121,700人
社会火災・移住・外交4

火災、3か国で48,500人死亡
9期累計42万人を超す

チェス25,700人 なのです12,800人 泰平10,000人

国別の火災死者数
第143期の火災死者。3か国の合計は48,500人。

チェス=シロバキア共和国で6件、なのです主義人民共和国で3件、泰平天国で2件の火災が発生し、計48,500人が死亡した。第135期からの9期累計は420,700人に達した。

チェス、隣接する町にも延焼

チェスでは都市2か所で5,000人と5,200人、町4か所で3,800人、2,800人、4,300人、4,600人が死亡した。合計25,700人。消火隊は一つの町を離れる前に隣の煙を確認し、給水車をそのまま次の現場へ回した。

なのです、工場を失う

なのですでは町3か所で計12,800人が死亡し、工場(15,62)も壊滅した。焼けた工場では交代時刻の札だけが入口に残った。現場監督は「機械の数より、どの班がどこにいたかを先に確かめた。名簿の空欄を埋める仕事が一番長い」と話した。

泰平、首都戦の外でも10,000人

泰平では都市2か所で各5,000人が死亡した。アルガリスト戦線で大兵力を動かす同じ期に、国内では消火と遺族支援の人手が必要となった。

チェスからオリョルッルへ49,600人移住
王国人口108万4千人に

チェス=シロバキア共和国からオリョルッル王国へ49,600人が移住した。仕事を求めて移動した人々を王国は受け入れ、人口は1,084,000人となった。第142期に究極繁栄賞を得たチェスから、今期は大勢の住民が他国へ移った。

到着した荷物には、出身地区を示す白い駒形の荷札が結ばれた。王国側の係員は受付列を分けたが、家族が別の列へ入っては呼び戻され、窓口は夕方まで混み合った。「仕事は選べると言われた。でも今日は、まず同じ列に家族がいるかだけ見ていた」と、工具箱を抱えた女性は話した。

泰平から狐っ娘へ31,400人

泰平天国から狐っ娘の尻尾教団へも31,400人が移住し、教団が受け入れた。泰平はアルガリスト戦線で首都を占領した一方、国内からはまとまった人数が新天地へ出た。

青海とオリョルッルが停戦

青海共和国とオリョルッル王国が停戦し、両国の交戦関係は解かれた。緑丘公国を滅ぼしたオリョルッルは、第145期に黄砂同盟との開戦を予定している。

あろあろと金野、友好国に

あろあろ国と金野伯爵領が友好関係を結んだ。金野は前期、白波王国の露天鉱脈(62,16)を占領している。

今後の開戦予定
第144期朱川共和国→オラニウム連邦
第145期オリョルッル王国→黄砂同盟
経済相場・貿易・保険5

競売、今期は成立なし
売り出し17件が買い手待つ

前期の取引3件・1,279億円から一転 弾薬と工業品は続落

第143期の交易市場では売買が成立せず、17件の売り出しが残った。前期は3件、計1,279億円の取引がまとまったが、今期の落札額はゼロだった。

弾薬相場は89.28から87.23へ2.05ポイント下落、工業品も63.49から62.67へ0.82ポイント下げた。両品目は第142期に続く下落となる。木材3.2、鋼鉄12、石油7.2、燃料6.8、石材5.6、鉱石4.8の6品目は横ばいだった。

第142期から第143期の相場
弾薬89.28→87.23
工業品63.49→62.67
木材/鋼鉄3.2/12
石油/燃料7.2/6.8
石材/鉱石5.6/4.8

期限の近い売り出し 食料と鉱石など8件

第145期に期限を迎える売り出しは8件。胡椒帝国の食料700が2件、鉱石150、蒼森の弾薬5、オラニウムの鋼鉄100、スルガの石油83、紅峰の燃料72、橙原の弾薬5が並ぶ。呼び値は524億円から1,000億円。

なのです貿易量19,120 前期から914増

貿易量首位はなのです主義人民共和国の19,120で、第142期の18,206から914増加した。2位あろあろ国13,541、3位カペレナ王国11,309はともに前期と同じ値。航海距離は青海575(前期567)、黒潮291(同289)、白波44(同43)の順となった。

民間船の保険料、今期35億円
積立100億円相当

商船、金貨袋の積立、沈没船を示した海運保険の流れ
民間の船と積荷を自動で保障し、保険料を金貨袋として積み立て、沈没・全損時に保険金を支払う。

民間商船と民間の積荷を対象とする海運保険の世界集計が公表された。今期の保険料徴収額は35.245億円で、保険金の支払いはゼロ。積立は100億円相当、これまでの保険料徴収額は累計290.073億円に上る。

返航中も保障 国の荷は対象外

民間船は積荷を届けた後の返航中も保障される。保険料が未払いでも保障そのものは続く。全損時に船や積荷へ中立金融の借入があれば、保険金は利息と元本の返済へ先に回る。一方、政府が直接運ぶ荷は対象外だ。

危険に応じて特約料 12期ごとに見直し

戦争や海賊の危険がある航路には特約料が加わる。現在の戦争・海賊料率は船体、積荷とも0.0500%。過去60期の支払い実績を参照し、12期ごとに見直される。運賃とは別に、船体と積荷を守るための費用も荷主の勘定に加わる。

気象・海事空と海6

雪、3期連続で減少 34区画
雨は50区画増の720区画

第143期の世界の天気図
世界の天気。雪は前期の67区画から34区画へ減り、雨は720区画へ増えた。

第143期の雪は34区画で、前期の67区画から33区画減った。晴れ2,823区画、曇り4,523区画、雨720区画。雨は前期より50区画増え、曇りも30区画増えた。雷は発生していない。

雪は第140期129区画、第141期70区画、第142期67区画、今期34区画と3期連続で減少した。第140期からの減少は95区画で、今期は前期のほぼ半分となった。曇りは前期より30区画増えて4,523区画。世界8,100区画のうち半分以上を占めている。

雨は第142期の670区画から720区画へ増えた。陸戦では、雨や雪の区画からの攻撃で相手に与える損害が通常の90%となる。戦場の天候も部隊の行動に関わる。

世界の天候 前期比較
晴れ2,870→2,823(−47)
曇り4,493→4,523(+30)
雨670→720(+50)
雪67→34(−33)
雷0→0
入門第33回7

遠洋漁場、寒流沿いと潮目に118区画

第143期の海流と漁場
暖流と寒流、漁場の分布。橙色が寒流沿い、黒い菱形が潮目の漁場。薄い区画は休漁中。

【海事部】寒流沿いと暖流・寒流の潮目に形成される遠洋漁場は、今期118区画となった。西南の海域とセントラ大陸南岸にまとまりが見られる。これらは各国の遠洋漁船が利用する共有漁場で、近海の民間漁船が母港から3~4区画先で利用する漁場とは仕組みが異なる。

海の入門講座 第33回 近海の民間漁船

近海の民間漁船は国の命令によらず、採算条件を満たす港で自動建造される。各港につき1隻まで。母港から3~4区画沖の海や浅瀬へ出て、獲った魚を持ち帰る。

港、漁船、漁場と帰港までを描いた民間漁船の一航海
港での建造から、漁場への移動、漁獲、帰港まで。費用と上限を四段階で示した。

1 民間が採算を見込んだ港に建造

建造費は100億円で、国庫ではなく民間現金から支払う。民間は建造後20期の予想漁獲を食料価格で評価し、建造費を回収できると見込む場合に造る。建造後は1期待ち、3~4区画沖へ向かう。

2 漁場の豊かさと残量を見る

近海の豊かさは海で100、浅瀬で120。漁船1隻が毎期獲れる上限は10。漁をしない期には残量が5回復する。近海漁場の残量は母港ごとに記録され、各国が共有する遠洋漁場とは分けて扱われる。

3 魚を50まで積み港へ戻る

積載上限は50、沖での操業は最長5期。満載になるか期限が来れば帰港する。燃料は移動1区画につき0.025万キロリットル。水揚げした魚は自国原産の食料として民間在庫に入り、販売代金が民間現金になる。

よくある誤解 空になってから休むのではない

近海の魚の残量が1未満になると休漁に入り、豊かさの50%まで回復すると再開する。海なら50、浅瀬なら60が再開の目安となる。

次回予告 第34回「遠洋漁船」 近海の民間漁船との違いを解説する。

民間漁船の早見
建造費(民間負担)100億円
建造後1期待機
母港ごとの上限1隻
港からの範囲3~4区画
積載50
沖にいる期間最長5期
漁獲上限毎期10
自然回復毎期5
燃料0.025/区画

CPU都市、国ごとの名前を増やす

新しく加わった10か国のCPU都市は、それぞれの国の言葉の雰囲気に合わせた名前の名簿を使うようになった。初期のCPU国家で首都名が国名と同じだった場合は、共通名簿から別の首都名が付く。人が付けた都市名は変わらない。

漢字名は繁体字に統一

CPUが付ける漢字の都市名は繁体字へ統一された。以前の名簿に混ざっていた簡体字や日本の字体7件も、CPUの町では改められる。

海運保険、世界集計を公表

海運保険の世界集計に、積立、立替、徴収保険料、保険金支払額、現在の料率が掲載されるようになった。個別契約や国ごとの未払い額は当事国のみ閲覧できる。今期の保険料35.245億円など、詳しい数字は5面で扱う。

国特集銀嶺侯国8

銀嶺侯国 坂と銀器の都を歩く

モンタルジェントの朝市から尾根の鐘楼へ 温めた乳と焼きチーズ

銀嶺侯国の坂の朝市
モンタルジェントの朝市。銀器店と乳製品店が石段を挟んで向かい合う。

銀嶺侯国の首都モンタルジェントは、銀色に見える尾根の南斜面へ石段を重ねた町だ。朝は下段の市場から始まり、昼には中腹の工房、夕方には尾根の鐘楼へ人が上がる。今号は坂を一日かけて歩く。

朝市 銀の匙は口当たりを確かめる

市場の銀細工師は、磨いた匙を光へかざす前に、自分の指で縁をなぞる。「曇りは磨けば取れる。縁が尖っていたら、食卓へ出してからでは遅い」。杯も同じで、見栄えより唇に触れる部分を先に整える。向かいの店には柔らかいチーズと、少し寝かせた固いチーズが並ぶ。

昼の工房 槌音が止まる「乳の刻」

正午前、工房街では鐘が一度鳴り、槌音が短く止まる。職人は「乳の刻」と呼び、温めた乳を飲んで手を休める。坂の食堂では焼いた黒パンへチーズを載せ、銀杯に乳を注ぐ。熱い杯は布で包んで持つ。

尾根の鐘楼 銀ではなく石で光る

町を見下ろす「白稜鐘楼」は銀板を張った建物ではない。尾根から切り出した明るい石が、夕方に銀色へ見えることから名が付いた。鐘楼脇の展望棚には、登り切れなかった旅人が荷を預ける小さな札所もある。

帰り道 買い物は下りの手へ分ける

坂の荷運び人は、割れ物を片手へまとめない。杯とチーズを左右へ分け、下りで体が振られないようにする。「上りは脚がつらい。下りは品物が怖い」。朝市から鐘楼まで歩くなら、重い買い物は帰りに受け取るのがよい。

銀嶺侯国
首都モンタルジェント
人口106,800人
兵力31,000人
領地13区画
国庫4,446億円
食料1,362,500トン
対外戦争なし
坂の町、一日の歩き方

朝 下段の朝市で銀器店を見る。注文品の受け取りは帰りに頼む。

昼 工房街の「乳の刻」に食堂へ。焼きチーズと黒パン。

夕 白稜鐘楼で尾根と市街を眺め、石段を下る。

銀器の手入れ

使い終えた杯や匙は柔らかな布で拭く。曇りを急いで落とそうと強くこすると、細い彫り模様が先に減る。工房では手入れ用の布を端切れで売る。

土産なら「二つ折り匙」

旅人向けの小品は、柄の中央で折って布袋へ収める「二つ折り匙」。留め金の緩みをその場で直してから渡すため、朝に注文し、坂を下りる時に受け取る。

文化・スポーツ藍岬共和国連邦9

藍風艇、最後の浮標で逆転優勝
岬回り競漕に三つの入り江

外へ膨らんだ浜凪艇を内側からかわす 舵手セノ、櫂を二拍止めさせる

藍岬の岬回り競漕
シネモルスク沖の岬回り競漕。三艇は外側の浮標へ向けて一列になった。

藍岬共和国連邦の首都シネモルスクで、三つの入り江の八人乗りの小舟が競う「岬回り競漕」が開かれた。藍風艇は最初の浮標を三位で通過したが、最終浮標の内側から先頭の浜凪艇を抜いて逆転優勝。浜凪艇が二位、塩舟艇が三位となった。

往路は浜凪艇 櫂数をそろえて先行

出発直後は浜凪艇の八人が櫂をそろえ、崖沿いの穏やかな水面で一艇身の差をつけた。藍風艇は波を受ける外側へ出て遅れ、最初の浮標では三位だった。塩舟艇は崖の影を選び、二位で折り返した。

潮目で順位入れ替わる

二つ目の浮標から先は、寒流と沿岸の流れがぶつかる。浜凪艇は浮標の外側へ膨らみ、塩舟艇は船首を風上へ向けすぎた。藍風艇の舵手ミラ・セノは櫂を二拍止めさせ、船尾が流れた瞬間に内側へ船首を向けた。最終浮標で先頭を奪うと、そのまま崖下の桟橋へ先着した。「速く漕ぐより、全員で止める方が難しい。あそこで八人が待てた」とセノは振り返った。

藍染めの長布で合図

崖上の審判台では、染屋が仕立てた三本の長布を掲げた。濃藍は出発、白筋入りは浮標通過、二つ折りは競技中止の合図。今大会では中止旗は使われなかった。観客は布の向きで沖の風を読み、艇が浮標へ入るたび歓声を上げた。

勝者の杯を塩水で洗う

藍風艇に贈られた木杯は、競技後に海水で洗い、乾いてから藍の紐を結んだ。優勝艇の八人は一人ずつ名前を呼ばれ、塩入りの乳を小さな匙ですくった。

岬回り競漕 結果
1位藍風艇(北入り江)
2位浜凪艇(西入り江)
3位塩舟艇(南入り江)
競技の三つの決まり

一艇8人。崖下の桟橋を出て、沖の浮標を三つ回る。浮標へ触れた艇は、その場で櫂を一度止める。ほかの艇の櫂へ自艇の櫂を重ねてはならない。

藍布の端切れ、観客席の目印に

観客席は石段に番号を彫らず、染めの濃さが違う端切れで区切った。薄藍は下段、中藍は中央、濃藍は崖上。塩袋を運ぶ道だけは白布を張り、立ち止まらないよう空けた。

岬の染屋は藍を一度で濃くせず、染めて乾かす作業を重ねる。競漕の長布も同じで、裏返してむらを直した。今期の藍岬は人口124,700人、兵力20,000人。対外戦争には参加していない。

地方・国際朱川共和国10

朱川、開戦目前に計画都市建設
川辺の測量を続行

第144期の対オラニウム開戦控え 橋材・荷車は軍の動員とも競合

朱川共和国の計画都市予定地を測る人々
朱川共和国の計画都市予定地。測量班は川から一段高い場所へ住宅区画を置いた。

朱川共和国は首都丹城の北東(67,8)で計画都市の建設に着手した。川沿いの荷揚げ場、橋のたもとの市場、高台の住宅用地を測り、道路の位置を決めている。オラニウム連邦との開戦を第144期に控え、都市用の資材と軍用の輸送資材が競合する中でも測量は続いた。

洪水線より上へ住宅 川沿いは荷揚げ場に

測量主任の蘇芳景は、岸に残る古い増水跡へ赤い杭を打った。「この線より下に寝床を置かない。水辺は荷を上げる場所、暮らす場所は一段上だ」。市場は橋のたもとに寄せるが、穀物倉はさらに高い西側へ置く計画だ。

開戦準備と資材が競合

朱川の人口は135,900人、兵力35,800人。橋材と荷車、石工は都市建設にも軍の移動にも必要だ。現場では軍へ回す木材に赤線を引き、都市用の木材とは別の積み場へ並べた。「どちらが先に持っていくかで毎朝数が変わる。だから束ではなく一本ずつ印を付ける」と職人は話す。

町の名はまだ付けず

共和国政府は新都市の名をまだ発表していない。測量班も図面では「北東区」とだけ記す。丹城の役所には名案を入れる箱が置かれたが、開箱日は開戦後まで決めないという。建物より先に名を祝うことを避けた。

朱川共和国
首都丹城
人口135,900人
兵力35,800人
領地16区画
国庫7,127億円
食料1,025,600トン
対オラニウム開戦第144期

怪獣4体が出現 別地点のクジラは衰弱

チェス領(68,58)にサンジラ、中立地域(10,42)にクジラ、(15,69)に別のクジラ、なのです領(16,66)にいのらが現れた。新たな出現は計4体。別に(11,43)のクジラが衰弱した。なのです領では前期、いのらが海兵を3度襲っている。

新都市の配置計画
川沿いの低地荷揚げ場
橋のたもと市場
増水跡より高い場所住宅地
西側の高台穀物倉

次の国境 黄砂は第145期

オリョルッル王国は第145期に黄砂同盟との開戦を予定する。今期はチェスから49,600人が移住し、人口は1,084,000人となった。青海との停戦は成立したが、次の国境へ向けた準備が続く。移住と停戦の詳報は4面。

編集後記

第143期、アルガリストからは官印と星図が運び出され、朱川の川辺では新都市のために杭が打たれた。一方では長く続いた都が奪われ、もう一方では名もない町の建設が始まった。