合同
第135・136・137期
トレーディア新聞社
定価 無料
トレーディア
新聞THE TREDIA SHIMBUN
トレーディア暦2年10月
第2週夕刊から第3週夕刊
本日11面
主な記事 ノルミア、オリョルッル領に フィルノアを平地に 戦果27,700人対8,900人 火災139,400人死亡 金野へ8,900人 弾薬91.32
総合緑丘の都市1

緑丘の現代都市ノルミア陥落 
オリョルッル軍が占領

開戦3期、歩兵部隊相次ぎ壊滅 兵站陥落、予備兵1,000人投降

曇りの街路で荷物を抱える人々
曇りのノルミア(18,49)。門の前にオリョルッルの兵が立ち、住民は荷物を抱えて戸口にいた。

オリョルッル王国軍は第137期、緑丘公国の現代都市ノルミア(18,49)を占領した。第135期の開戦から、王国軍は緑丘軍の歩兵部隊を相次いで撃破し、ついに公国の都市を奪った。兵站拠点も王国軍の手に落ち、予備兵1,000人が投降した。首都緑丘(16,46)はなお公国の支配下にある。

3期の戦果は王国軍27,700人、緑丘軍8,900人。王国軍が18,800人上回った。都市陥落の報せが伝わった公国内では、首都に迫る戦火への不安が広がっている。

王国軍、ノルミアへ進入 街に占領軍の旗

「王国軍が来たぞ!」。ノルミアの門に兵士が現れると、通りには叫び声が響いた。商店の戸が閉められ、人々は家の中へ駆け込んだ。荷物を抱えて町を離れようとする住民もいた。

「昨日までは緑丘の町だったんだ。どうして今日から王国の旗が立つんだ」。市場の商人は門を見つめた。「家も店もここにある。兵隊が来たからって、簡単に別の国の人間になれるものか」

荷物を布に包んだ女性は子供の手を握った。「首都へ逃げればいいのか、それともここに残るべきなのか。何も分からないんです」。街の領有は変わっても、そこに暮らす人々の家と仕事は残る。

兵站拠点も陥落 予備兵1,000人が投降

ノルミアと同じ第137期、緑丘軍の兵站拠点も占領された。そこにいた予備兵1,000人は王国軍に投降した。兵站は前線への補給と兵員の補充を支える施設であり、その喪失は緑丘軍の立て直しに痛手となる。

「前線で兵が減れば、後ろから補充が来るはずだった。その場所まで敵に取られた」。緑丘兵は補給路への不安を口にした。王国軍は都市と軍事施設を相次いで奪い、公国の防衛を揺さぶっている。

開戦3期、王国軍が全期で戦果上回る

第135期の戦果は王国軍11,900人、緑丘軍2,900人。第136期は王国軍5,000人、緑丘軍2,000人。第137期は王国軍10,800人、緑丘軍4,000人だった。王国軍は装甲兵と歩兵で攻勢を続け、緑丘歩兵部隊の消滅が相次いだ。詳報は2面。

首都緑丘は公国領 兵力49,800人に

首都緑丘はなお公国が保持している。人口は第135期27,800人、第136期28,100人、第137期28,400人と増えた。公国軍の兵力は67,800人から49,800人へ減り、領地は15区画から14区画となった。国庫は18,379億円、食料910,800トン。働き手は39,700人不足する。

「ノルミアが取られたと聞いて、次はここだと思った。でも家族も仕事も残っている」。雨の首都で、商人は濡れた店先の戸を開けた。

青海、黒潮も王国と開戦 戦争拡大

第136期には青海共和国、第137期には黒潮自治国が相次いでオリョルッル王国と開戦した。王国は緑丘戦線で優位に立つものの、交戦相手は増えている。王国の人口は942,000人、兵力557,300人、領地332区画、国庫12,809億円。

「緑丘の町を取ったと聞いたばかりなのに、青海も黒潮も戦争か」。王国の商人は言う。「戦いが広がれば、商いだって落ち着かない」

黒潮、焦土戦術か フィルノアを自ら整地

黒潮自治国は第137期、自国の現代都市フィルノア(19,18)を整地し、平地に変えた。カペレナ王国の戦艦は第135期から3期続けて同地を砲撃。第137期には王国歩兵の攻撃で黒潮第1方面軍歩兵が消滅し、その後、黒潮側が都市を整地した。敵軍に都市を利用させないための焦土戦術だった可能性がある。

「砲で町が壊されるのは何度も見てきた。でも最後に町を平らにしたのは、こちらの政府だった」。元住民は旧市街を見つめた。黒潮の人口は2,800人。政府はネルヴェナを首都と称している。焦土戦術としての意味と住民への影響は3面。

本紙社説 占領された都市、消された都市

ノルミアはオリョルッル王国の占領下となった。緑丘の首都は残っているが、3期に及ぶ戦いで歩兵部隊が相次いで失われ、兵站拠点も奪われた。予備兵1,000人が投降した。

ノルミアでは、店の戸を閉めた商人が占領軍の旗を見上げ、荷物を抱いた家族が行き先を探している。占領を終えた王国軍には、こうした住民の安全を守る責任がある。

フィルノアでは別の事態が起きた。王国の艦砲射撃が続き、守備部隊が消滅した後、黒潮政府は自国の都市を整地した。敵軍への利用阻止を狙った焦土戦術だったのか。黒潮は王国軍の攻撃が続く中、自ら街を平地にした。敵軍に奪われたノルミアと、自ら平地にしたフィルノア。どちらの町にも、そこで暮らした人々がいた。

都市を守るとは旗を守るだけではない。人々が明日も暮らせる土地を守ることだ。

戦況緑丘戦線2

緑丘軍、歩兵部隊相次ぎ壊滅 
王国軍がノルミアへ進撃

開戦3期、王国軍が攻勢 兵站陥落、予備兵1,000人投降

緑丘とオリョルッルの戦場
緑丘とオリョルッルの戦場。ノルミアは王国領になり、首都緑丘は公国側に残る。

オリョルッル王国軍は第135期の開戦から第137期まで、緑丘公国軍への攻勢を続けた。緑丘軍の歩兵部隊が相次いで消滅し、第137期には現代都市ノルミアと兵站拠点を失った。予備兵1,000人が投降した。

3期の戦果は王国軍27,700人、緑丘軍8,900人。公国軍の兵力は67,800人から49,800人へ減少した。第137期にはノルミアと兵站拠点も失い、公国軍は厳しい戦いを強いられている。

第135期 開戦直後から王国軍猛攻

王国の装甲兵が緑丘歩兵に攻撃を加え、部隊を消滅させた。さらに別の地点でも緑丘の歩兵部隊が消滅した。初戦の戦果は王国軍11,900人、緑丘軍2,900人。

「開戦したばかりなのに、仲間の部隊が次々と失われた。戻ってこない兵もいる」。緑丘軍の兵士は、初戦の激しさを語った。

第136期 装甲兵の攻勢続く

第136期も王国軍の装甲兵が攻撃を続け、緑丘軍の歩兵部隊が消滅した。王国軍の戦果5,000人、緑丘軍2,000人。「ようやく陣地を整え直したところへ、また敵が来た」。緑丘兵は疲労を隠さなかった。

歩兵部隊を失った地点では、その守りを担う戦力が欠ける。公国軍は後続の部隊による補充と防衛線の維持を迫られた。

第137期 王国歩兵が攻撃 ノルミア陥落

王国歩兵の攻撃により緑丘軍の歩兵部隊が消滅。王国軍は同じ期にノルミアへ進入し、現代都市を占領した。戦果は王国軍10,800人、緑丘軍4,000人だった。

「町を守るつもりだった。でも、気付けば門の向こうには王国軍がいた」。守備に当たった兵士は語った。首都緑丘は引き続き公国が保持している。

兵站拠点も喪失 予備兵1,000人投降

第137期、緑丘の兵站拠点も占領された。駐屯していた予備兵1,000人は投降した。補給と兵員補充を担う拠点が失われ、前線部隊の再建は難しさを増す。

「前線で仲間が減れば、新しい兵が来ると思っていた。その兵を集める場所まで取られた」。緑丘の兵士は不安を口にした。

王国軍、3期すべてで戦果上回る

第135期は11,900人対2,900人、第136期は5,000人対2,000人、第137期は10,800人対4,000人。いずれも王国軍が上回り、3期計では18,800人の差となった。緑丘軍も反撃を続けたが、相次ぐ部隊の消滅と都市・兵站の喪失に直面した。

緑丘兵力49,800人 領地14区画

公国の兵力は67,800人から49,800人へ減り、領地は15区画から14区画に縮小した。首都緑丘の人口は第135期27,800人、第136期28,100人、第137期28,400人。王国領は325区画から332区画へ広がった。

「ノルミアを失った。首都へ来る前に敵を止めなければならない」。公国の兵士は残る防衛線を見据えた。

王国、青海・黒潮とも交戦へ

第136期には青海共和国、第137期には黒潮自治国が王国と開戦した。緑丘戦線で攻勢を続ける王国軍は、新たな交戦国にも向き合うことになった。「町の門は越えた。しかし戦争はまだ終わっていない」。王国の歩兵は語った。

戦果(与えた人数)
第135期・オリョルッル11,900人
第135期・緑丘2,900人
第136期・オリョルッル5,000人
第136期・緑丘2,000人
第137期・オリョルッル10,800人
第137期・緑丘4,000人
3期・オリョルッル27,700人
3期・緑丘8,900人
第137期末
緑丘の人口28,400人
緑丘の兵力49,800人
緑丘の領地14区画
オリョルッルの人口942,000人
オリョルッルの領地332区画
戦況黒潮3

黒潮、焦土戦術か 
フィルノアを自ら整地

王国軍の艦砲射撃3期、守備部隊も壊滅 現代都市を整地し平地に

カペレナと黒潮の戦場
黒潮・カペレナ戦線。フィルノア(19,18)は第137期、黒潮側の整地で平地となった。

黒潮自治国は第137期、カペレナ王国軍による攻撃が続いていた現代都市フィルノア(19,18)を自ら整地した。王国戦艦は3期にわたり同地へ艦砲射撃を加え、第137期には黒潮第1方面軍の歩兵部隊が消滅。その後、黒潮側の整地で市街は平地となった。

敵に利用させないための焦土戦術だったのか。黒潮は王国軍の攻撃が続くフィルノアを自ら平地にした。家も店も失った住民たちは、旧市街の跡に立ち尽くした。

「敵に取られるくらいなら潰す、ということなんでしょう。でもここには俺たちの家があった」。旧市街を見つめる男性は怒りをあらわにした。「砲で壊されても、いつか直せると思っていた。味方が全部平らにするなんてね」

第135期 王国戦艦、フィルノアを砲撃

第135期、カペレナ王国の戦艦はフィルノアへ艦砲射撃を行った。同市はそれ以前から繰り返し砲撃され、第134期までに確認された艦砲による死者は900人に達していた。

「港の方から砲声が聞こえると、みんな外へ飛び出すんだ」。元住民は語った。「簡単には家を捨てられない」。今期の陸上戦果は黒潮軍1,700人、王国軍2,200人だった。

第136期 守備歩兵消滅 砲撃続く

王国戦艦は第136期もフィルノアを砲撃。陸上ではカペレナ歩兵と黒潮第1方面軍歩兵が交戦し、反撃を重ねる中で黒潮側の部隊が消滅した。戦果は黒潮軍1,900人、王国軍4,200人。

「前の戦いで仲間を失った。今度は部隊そのものがなくなった」。黒潮の兵士は、砲撃が続く町を見つめた。

第137期 守備隊撃破の後、自ら整地

第137期も王国戦艦が艦砲射撃を続け、王国歩兵の攻撃で黒潮第1方面軍の歩兵部隊が消滅。その後、黒潮はフィルノアを整地した。第136期まで現代都市だった場所は平地になった。

「町を守ろうとして戦ってきたのに、最後は自分たちで壊すことになるなんて」。兵士は言葉を落とした。今期の戦果は黒潮軍4,800人、王国軍1,800人。黒潮軍が3,000人上回った。

焦土戦術か 都市整地の軍事的意味

焦土戦術は、敵軍に都市や施設を利用させないため、自ら破壊する戦法だ。王国軍による砲撃が続き、黒潮の守備歩兵が消滅した後の整地は、この戦法と重なる。ただし整地の目的は明らかになっていない。

その代償を負うのも黒潮自身だ。建物と都市機能を失い、戦いが収まっても元の町は戻らない。

住民「味方が町を潰すとは」

「ここに俺の店があった。向こうに家があって、隣には親戚が住んでいた」。元商人は平地となった町を指した。「王国の砲で店が壊されても、また建て直せると思った。でも土地まで平らにされたら、どうすればいいんだ」

荷物を抱えた女性も訴える。「軍隊には軍隊の都合があるんでしょう。でも、家をなくした人間は明日からどうやって暮らせばいいんですか」。都市を失った人々の生活再建は残された。

戦果では黒潮が上回る それでも都市喪失

黒潮軍は3期で8,400人、王国軍は8,200人の戦果を記録した。黒潮が200人上回り、第137期だけでも3,000人上回る。それでも王国軍の艦砲射撃は止まず、守備部隊は相次いで失われ、フィルノアは平地となった。

これまでの戦果は黒潮軍107,400人、王国軍156,000人。長期の戦闘では王国が48,600人上回る。「何人倒したという話は聞く。でもうちの町はなくなった」。元住民は語った。「戦果で勝ったと言われても、帰る場所がないんじゃ喜べない」

王国政府、黒潮に降伏勧告

カペレナ王国政府は「黒潮残党は王国政府への降伏が推奨されている」と述べた。黒潮は旧首都を失い、フィルノアも整地した。それでも政府はネルヴェナを首都と称し、抗戦を続ける。

第137期末の黒潮人口は2,800人、兵力52,300人、領地17区画、国庫11,032億円。旧首都はなおカペレナ王国の占領下にある。

黒潮、オリョルッル王国とも開戦

黒潮自治国は第137期、オリョルッル王国とも開戦した。カペレナとの戦争が続く中、新たな交戦相手を抱えた。オリョルッルは同じ期に緑丘公国の現代都市ノルミアを占領している。緑丘戦線の詳報は2面。

黒潮と王国の戦果
第135期・黒潮1,700人
第135期・王国2,200人
第136期・黒潮1,900人
第136期・王国4,200人
第137期・黒潮4,800人
第137期・王国1,800人
3期・黒潮8,400人
3期・王国8,200人
累計・黒潮107,400人
累計・王国156,000人
黒潮・第137期末
人口2,800人
兵力52,300人
国庫11,032億円
領地17区画
首都ネルヴェナ
フィルノア平地
社会火災4

大火相次ぎ、3期で139,400人犠牲 
なのですとチェスに被害集中

なのです77,100人、チェス41,000人 工場焼失、怪獣も都市・集落を破壊

第135期から第137期にかけ各国で大火が相次ぎ、3期で計139,400人が死亡した。なのです主義人民共和国で77,100人、チェス=シロバキア共和国で41,000人。両国だけで死者の8割を超える。第135期の死者26,100人から、第136期は55,700人、第137期は57,600人に増えた。火災は住宅や町だけでなく工場にも及んだ。

「前の火事が終わったと思ったら、また煙が上がった」。電都の男性は井戸端で桶を手にした。「火が収まれば焼け跡を片付ける。でも家が焼けた人は、片付ける場所さえないんだ」

なのです、3期で77,100人犠牲

なのですの火災死者は第135期13,600人、第136期30,800人、第137期32,700人。3期で77,100人に達した。被災地では家族を捜す住民が焼け跡を歩き、残った家財を拾い集めている。

「前の火事で家を失ったばかりなのに、今度は親戚の町が燃えた」。避難先の女性は焦げた布を握った。「頼ろうと思っていた人までいなくなった。どこへ行けばいいんでしょう」

旧シンジケート残党との戦争と巨大怪獣による市街の破壊も続く。「煙が見えたら、どこの家か確かめるより先に桶を持って走るんだ」。電都の住民は語った。

チェス、41,000人犠牲 工場も焼失

チェスでは第135期5,800人、第136期13,200人、第137期22,000人が死亡し、3期の犠牲は41,000人となった。第136期には工場も火災で壊滅した。

「家を失って、仕事場まで焼けた。何から直せばいいんだ」。焼けた工場を前に労働者がうなだれた。工場の再建が進まなければ、働き手の生活にも影響が及ぶ。

泰平、カペレナ、教団にも延焼

第135期には泰平天国で6,700人が死亡。第136期にはカペレナ王国の都市で6,700人、狐っ娘の尻尾教団の都市で5,000人が犠牲となった。第137期にはオリョルッル王国の町で2,900人が死亡した。

「戦争の話ばかりだったけれど、敵が来なくても火事で家を失う」。焼け残った壁を見つめ、住民の男性は言った。「国境だけでなく、町も守ってほしい」

4期の火災死者197,900人に

第134期の火災死者58,500人を合わせると、直近4期の犠牲は197,900人に達する。「家が建て直せても、父親は帰ってこない」。避難先の女性は言った。救援と住まいの確保に加え、延焼を防ぐ備えが急がれる。

巨大怪獣、都市と集落を相次ぎ踏み潰す

火災とは別に、巨大怪獣クジラといのらによる市街の破壊が続いている。第135期、クジラは南部の都市を踏み潰し、いのらは村を踏んだ。第136期にはいのらが町を踏み潰し、荒地に変えた。

「昨日まで人が住んでいた町だよ。店も畑へ行く道もあった」。高台の女性は荒地を見下ろした。「今じゃ、どこに何があったか分からない」

第137期には衰えたクジラが隣の荒地を踏み、いのらも荒地を踏んだ。クジラはなお同じ海域に残り、いのらの体力は前期と同じ1である。

火災の犠牲・第135〜137期
なのです77,100人
チェス41,000人
泰平6,700人
カペレナ6,700人
教団5,000人
オリョルッル2,900人
3期合計139,400人
期別の火災死者
第135期26,100人
第136期55,700人
第137期57,600人
第134期から4期197,900人
続報ほかの戦線5

泰平軍、アルガを圧倒 
3期の戦果16,900人

第136期から戦果に大差 アルガ歩兵消滅、翠湖から15,800人移動

泰平天国とアルガリスト帝国の戦争は第135期から第137期にかけても続き、3期の戦果は泰平軍16,900人、アルガ軍6,500人となった。初めの期はほぼ互角だったが、第136期以降は泰平軍が大きく上回る。第137期にはアルガ軍の歩兵部隊が消滅した。

第135期 両軍ほぼ互角

第135期の戦果は泰平軍1,900人、アルガ軍2,000人。アルガが100人上回った。「何人倒したかより、前線へ行った家族が帰ってくるのか知りたい」。アルガの町では、戦況を聞く家族が帰還を待っていた。

第136期 泰平軍の戦果急増

第136期、泰平軍の戦果は7,700人に達し、アルガ軍は2,500人。差は5,200人に開いた。「また泰平軍が来た。前よりずっと厳しい戦いだった」。アルガ兵は語る。泰平軍はこの期から戦果を大きく伸ばした。

第137期 アルガの歩兵部隊消滅

第137期は泰平軍7,300人、アルガ軍2,000人。アルガの歩兵部隊が消滅した。「部隊が戻ってこないと聞いて、間違いだと思った」。兵士の家族は言葉を詰まらせた。これまでの戦果は泰平軍26,800人、アルガ軍10,800人。戦闘は続いている。

翠湖からアルガへ15,800人 都市占領の翌期

第137期、翠湖自治州からアルガリスト帝国へ15,800人が移った。前期に泰平天国が占領した翠湖の都市は、第137期も泰平領のまま。翠湖は首都湖陽を保持し、人口は71,100人、領地は13区画。アルガの人口は95,400人、領地は27区画となっている。

「荷車が湖の方からずっと続いていた。子供を連れた家族もいた」。アルガの女性は町へ入る人々を見送った。「こちらで暮らすことにした。まず仕事と住まいを探さないと」。移住してきた男性は荷物を下ろした。

都市占領に続いて大勢が国境を越えたが、移動の理由は一様ではない。失われた翠湖の都市では今も泰平の支配が続いている。「あの町には家も畑もある人がいる。旗が変わったからといって、それで終わりじゃない」。湖陽の商人は語った。

なのです軍、旧シンジケート残党と戦闘続く

なのです軍と旧シンジケート残党の戦果は第135期が800人対400人、第136期が300人対100人、第137期が300人対100人。3期合計はなのです1,400人、残党600人。これまでの戦果は113,700人対44,800人となった。

各期の戦闘では部隊の消滅も記録された。「もうずいぶん長く戦っている。普通に店を開ける日が戻ってほしい」。戦地の住民は語る。残党指導部は抗戦を続けるか、和平へ進むかの決断を迫られている。なのですの人口は1,005,500人、国庫は7,672億円。

国境越える人々 主な5件で68,400人

第135期から第137期に確認された主な人口移動5件の合計は68,400人に上る。第135期にはなのですからあろあろへ28,000人、青海から黄砂へ12,300人。第136期には教団からスルガへ3,400人。第137期には翠湖からアルガへ15,800人、桃谷から金野へ8,900人が移った。

「新しい町へ行くのは楽しみだが、今までの家を置いていくのは寂しい」。旅立つ男性は荷物を結び直した。人々はそれぞれの事情を抱え、新しい住まいと仕事を求めて国境を越える。

泰平とアルガの戦果
第135期・泰平1,900人
第135期・アルガ2,000人
第136期・泰平7,700人
第136期・アルガ2,500人
第137期・泰平7,300人
第137期・アルガ2,000人
累計・泰平26,800人
累計・アルガ10,800人
なのですと残党の戦果
3期・なのです1,400人
3期・残党600人
累計・なのです113,700人
累計・残党44,800人
経済相場6

弾薬相場91.32に上昇 
工業品は62.17へ下落

弾薬は前期の値下がりから反発 工業品は2期続落 交易首位争いは130差

第137期の弾薬相場は91.32となり、前期の90.22から1.10上昇した。第134期の90.10と比べても1.22高い。工業品は前期62.54から62.17へ0.37下落。第135期の62.89を頂点に2期続けて値を下げた。

「弾薬がまた上がった。工業品は反対に下がっている」。交易所の商人は帳面を見つめる。「買い手も売り手も明日はどうなるかと聞く。こちらも簡単には読めないよ」

弾薬、90.22から91.32へ反発

弾薬は第134期90.10、第135期90.51、第136期90.22、第137期91.32と推移した。

「弾薬を買う側は少しの値上がりでも気にする。数を揃えるほど支払いがかさむ」。取引商は話した。

工業品、62.89を頂点に2期続落

工業品は第134期62.67、第135期62.89、第136期62.54、第137期62.17。今期は第134期も下回った。「売る時期を考えたいが、倉庫に積んだままにもできない」。工業品を扱う商人はため息をついた。

木材、鋼鉄など6品目は横ばい

鋼鉄12、石油7.2、燃料6.8、石材5.6、鉱石4.8、木材3.2は3期を通じて同じ値だった。「資材の帳面は書き直さずに済んだ」。資材商は笑った。

交易、なのですが首位 あろあろと130差

第137期の交易指標はなのです10,356、あろあろ10,226、カペレナ6,191。上位2国の差はわずか130。「次の期には順番が変わるかもしれない」。あろあろの商人は市場の数字を指した。

航海、青海528で首位

航海指標は青海528、黒潮274、緑丘67。青海が黒潮を254上回った。

市場の売り出し 石材と食料

第137期、スルガは石材13を70で、銀嶺は食料148を147で売り出した。第134期には銀嶺の同じ食料が140だった。

緑丘の国庫18,379億円 チェス14,600億円

第137期末の国庫は緑丘18,379億円、チェス14,600億円、オリョルッル12,809億円、黒潮11,032億円、なのです7,672億円、カペレナ2,980億円。緑丘は都市ノルミアを失いながら、掲載した6国では最も多い残高を持つ。人口2,800人の黒潮も11,032億円を保有する。

第137期の相場
弾薬91.32
工業品62.17
鋼鉄12
石油7.2
燃料6.8
石材5.6
鉱石4.8
木材3.2
貿易と航海
貿易・なのです10,356
貿易・あろあろ10,226
貿易・カペレナ6,191
航海・青海528
航海・黒潮274
航海・緑丘67
気象海7

雪の範囲縮小、73区画に 
前期から48区画減

第136期の121区画から減少 曇り4,050区画 緑丘艦は工場のある区画を砲撃

第137期の天候
第137期の天候。雪は73区画。第136期の121区画から減った。

第137期の雪の範囲は73区画となり、前期の121区画から48区画減った。第134期の43区画から第135期106区画、第136期121区画と拡大していたが、今期は縮小に転じた。

晴れ3,524区画、曇り4,050区画、雨446区画、雪73区画、雷7区画で、計8,100区画。曇りが世界の半数を占めた。

雪、第136期の121区画から73区画へ

今期の雪は第134期を30区画上回る。「雪の日は荷車を引くにも時間がかかる。減ったと聞いても、まだ安心はできない」。街道を行き来する男性は空を見上げた。

曇り4,050区画 晴れ3,524区画

曇りは全体の50%、晴れは約43.5%。両方で7,574区画となった。「曇っていても、雨さえ降らなければ外の仕事はできる」。畑の男性は道具を片付けた。

雨446区画、雷7区画

雨の区画は446、雷は7。「雷の日は外の仕事ができない」。村の職人は戸口の木材を雨除けの下へ移した。雪だけでなく、各地の雨や雷への備えも続いている。

緑丘駆逐艦、工場のある区画を艦砲射撃

緑丘公国の駆逐艦は第137期、工場のある陸地区画を艦砲射撃した。同艦は第135期と第136期には森林の区画へ砲撃を行っており、3期にわたり陸地を攻撃した。

「最初は森の方だったが、今度は工場のある場所だと聞いた」。岸の男性は網を畳んだ。「沖から砲声が聞こえた」

緑丘はオリョルッルとの戦争でノルミアを失った。陸戦の詳報は2面。

第137期の海面
第137期の海。緑丘の駆逐艦は、陸の区画へ艦砲射撃を行った。
雪の区画
第134期43
第135期106
第136期121
第137期73
入門第27回8

入門第27回 軍艦は怪獣をどう撃つか 
巡洋艦2、戦艦3、空母4

指令は「通常」「退治」 陸の怪獣と海のクジラ、それぞれの攻撃方法

軍艦から陸の怪獣を攻撃するとき、まず確かめるのは艦の種類と怪獣までの距離だ。巡洋艦は2、戦艦は3、空母は4まで届く。いずれも区画を単位とした距離である。指令にも注意が必要で、「通常」「退治」のいずれかを用いる。

前回は「通常」「退治」「巡航」「停船」の4種類の行動を紹介した。今回は、怪獣を撃つための射程と海のクジラへの対処を扱う。

巡洋艦は2、戦艦3、空母4

陸上の怪獣への射程は艦種で異なる。巡洋艦2区画、戦艦3区画、空母4区画。巡洋艦では届かなくても、戦艦や空母なら攻撃できる位置がある。実際に届くかは地図上の距離判定による。

「怪獣が見えるからといって、どの船でも撃てるわけじゃない」。港の軍艦乗りは語る。「船の種類と距離を確かめるんだ」

指令は「通常」か「退治」

どちらの指令でも怪獣への攻撃が可能となる。「巡航」は移動するだけで攻撃しない。「停船」は移動も攻撃もしない。怪獣が射程内にいても、指令を誤れば砲撃しない。

「怪獣が近くにいるのに撃たないなら、距離だけでなく指令も見るんだ」。船長は若い乗組員へ説明した。通常と退治の細かな標的選択は、各指令の仕様に従う。

海のクジラ 艦種を問わず攻撃

海の巨大怪獣クジラは18期に一度現れ、同時に最大2頭まで出現する。軍艦なら種類を問わず、「通常」「退治」で攻撃できる。放っておいてもその場に残る。

「クジラを見つけたら、船と指令を確かめる」。水兵は海図を指した。第137期、南部のクジラは衰弱したまま同じ海域にいる。弱ったクジラは現在もその海域にいる。

陸のいのら 体力1でも活動

いのらは第135期に村、第136期に町を踏み潰し、町は荒地となった。第137期も荒地を踏んだ。体力は前期から1のままである。「弱っていても、まだそこにいる」。町の見張り役は警戒を続ける。

浅瀬と怪獣、船の位置

陸の怪獣は浅瀬に入らない。船がいる区画にも入らず、陸上から船を沈め、その場に残る。浅瀬にミサイルを撃ち込んでも効果はない。第135期には怪獣の跡の荒地2か所が浅瀬に戻った。浅瀬を陸にするには整地ではなく埋め立てが必要だ。

怪獣を撃つ前に確認すること

怪獣が陸と海のどちらにいるか。艦艇の種類と射程は合っているか。そして指令が「通常」か「退治」になっているか。この3点を確かめたい。次回は港の出入りと水面の通行を取り上げる。

ルール改訂短信

地図と商業同盟 地図表示は土地利用・陣営・国を切り替えられる。商業同盟への加入は盟主の承認が必要。申請は12期で失効し、申請者は取り消せる。除名後10期は再加入できない。同盟表は軍事・商業に分かれた。

対人ミサイル 自国や中立の土地へ着弾する。所有者のない陸や海にいる他国部隊にも当たる。

港の通行 非交戦国の海兵・航空部隊が港の隣の水面にいても通過できるが、同じ区画には停まれない。妨害区画3つまでなら一度の移動で抜けられる。4つ以上や交戦国の軍艦が混ざる場合は通れない。燃料は実際に通った分を消費する。

貨物と施設 行き先の港を失った貨物は受取国の別の利用可能な港へ向かい、なければ送り主に戻る。現代都市と首都への部隊設置には優先指令が使える。滅亡国の養魚場はその期に撤去される。

陸の怪獣への距離
巡洋艦2
戦艦3
空母4
指令通常、退治
海のクジラ
現れる間隔18期に一度
同時2頭まで
撃つ艦軍艦
放っておくとその場に残る

小欄 怪獣の跡、浅瀬に戻る

第135期、怪獣の跡だった荒地2か所が浅瀬に戻った。浅瀬は整地では陸にならない。船を通す水面として、そのまま使う。

国特集金野9

桃谷から8,900人移住 
金野の麦の里に新住民

風車回る首都シャンドール 果樹の谷から麦畑の国へ、新たな暮らし始まる

麦畑と風車、袋を担ぐ人
曇りのシャンドール。麦のあいだを、袋を担いだ男が風車へ歩いていく。

金野伯爵領の首都シャンドールに新たな住民がやって来た。第137期、桃谷連邦共和国から移った人々は8,900人に上る。果樹の谷から黄金色の麦畑が広がる伯爵領へ。風車が回る町で、新しい暮らしが始まっている。

「桃谷では桃を傷つけないよう、籠へ一つずつ並べていたんです。こちらでは麦の袋を担ぐことになりました」。移住した男性は肩から袋を下ろした。「重くて驚きましたよ。でも、教えてくれる人がいる」

桃谷の籠から金野の麦袋へ

風車の前では、移住者が麦袋の結び方を習っていた。「そんなにきつく縛ると、あとで開かなくなるよ」。地元の粉屋が紐を結び直してみせた。「桃は潰すと大変だろう。麦は濡らすと大変なんだ」

「籠の置き場所一つでも、最初は分からない」。桃谷から来た女性は水を汲みながら話す。「隣の人に教えてもらいながら暮らしています」。新住民には商いを探す者もいる。「桃谷では果物を売っていた。ここでも何か始めたいんです」

風車の粉屋、湿った麦は挽かず

石臼が回る粉屋へ客が麦袋を持ち込んだ。主人は粒をつまみ、首を振った。「まだ湿っている。今日は挽けないな」。今日中に粉が欲しいと言う客には「石に貼り付くと次の人の分まで駄目になる。乾いてから来てくれ」と答えた。

客が袋を担いで去ると、粉屋は次の麦を臼へ流し込んだ。風車の羽と石臼の音が、曇りの町に響く。

畑で交わす言葉 移住者も仕事学ぶ

「穂の向きを揃えて束ねると運びやすい」。農家が手本を見せると、桃谷から来た女性も一束を作った。「桃の枝とは違いますね」。農家は笑って次の麦を手渡した。移住者は畑で仕事を習い、商店や別の働き口を探す人々も新天地に足場を築こうとしている。

戦争のない伯爵領 新住民迎える

金野は現在、対外戦争を行っていない。人口119,700人、領地22区画、兵力20,000人。国庫6,627億円、食料691,200トンを保有する。政府は「黄金色の麦畑が続く伯爵領」と紹介する。

「人が増えれば、買い物をする人も働く人も増える」。市場の商人は語った。夕刻、移住してきた男性は教わった通り麦袋を結んだ。「明日はもう少し上手くできると思います」。新しい暮らしは小さな仕事から始まっている。

金野伯爵領
首都シャンドール
天気曇り
人口119,700人
兵力20,000人
国庫6,627億円
食料691,200トン
領地22区画
対外戦争なし

小欄 桃谷の籠、金野の袋

桃谷から持ってきた籠は桃を傷めず運ぶ道具だった。金野の麦には大きな袋を使う。「籠に麦を入れたらこぼれるよ」と農家が笑うと、移住者は答えた。「でも野菜を運ぶには便利でしょう」。使い慣れた籠は、金野の市でも新たな役目を見つけた。

文化テキスタン10

藍染めの町テキシャに伝わる 
短編『裏を急がない』

失敗した布をどうするか 染屋の娘が選んだ道 読書会でも議論

藍の布と杼を持つ手
曇りのテキシャ。織場の杼が、藍の布の上を渡る。

テキスタン共和国の首都テキシャで、染屋の仕事を題材にした無署名の短編『裏を急がない』が読まれている。客に急かされて染色を失敗した娘が、自分の仕事と向き合う物語だ。染屋の軒で開かれた読書会では、客との約束と失敗した布の行方が話題となった。

短編『裏を急がない』

朝、商人が一反の布を持ち込んだ。「今日の市で売りたい。できるだけ濃い藍に染めてくれ」。娘は夕方までに仕上げると約束した。母親は「濃い色には、染めて乾かす時間が要るよ」と念を押した。

一度染めた布を竿に掛けたが、風は弱く、布はまだ湿っていた。娘は客の催促が気になって、乾く前に裏返し、再び染液に浸した。夕方に広げると濃淡のむらができていた。「これでは売れない。濃い藍だと言って渡せるものか」。商人は受け取らずに帰った。

母親は「この布をどうするか、自分で決めなさい」と言った。翌朝、娘は店先に布を掛け、「染め損じ。濃淡にむらあり」と札を置いた。通りの女性が足を止めた。「きれいな色ね」。娘は事情を話した。「注文どおりには染められなかった布です」

女性は布を透かした。「服じゃなく窓に掛けたいの。この濃淡なら朝の光が面白いでしょう」。娘は染め損じと分かって買う客に値を下げて布を売った。

夕方、最初の商人が戻った。「昨日の布はどうした」。娘が説明すると、商人は言った。「私の注文にはならなかった。それは変わらん。でも捨てずに済んだな」。商人は新しい布を出した。「今度は急がせない。濃い藍にしてくれ」。娘は仕上がりまでの日を確かめた。「乾く時間も含めてお約束します」

母親は染液をかき混ぜながら笑った。「裏を急がないことを覚えたね」。娘は返した。「布だけじゃないわ。返事も急がないことにする」

読書会、失敗した布は売れるか

「別の人が買ったからといって、最初の客との約束を守れなかった事実は消えない」。染屋の主人が言うと、参加した女性は答えた。「でも娘は失敗を隠さずに話している。買う人も承知していたでしょう」。別の参加者は、最初の商人がもう一度注文に来た場面を挙げた。「失敗の後の態度で、また仕事を頼もうと思えることもあるんでしょうね」

詩「夜の織機」

昼の声が遠のいて
戸口に灯がともるころ
杼は静かに糸を渡り
一日の続きを織り始める

窓の外には曇る空
誰かが家路を急ぐ道
布の端にはまだ残る
今日の仕事の手のぬくもり

明日の朝に仕上げよう
今夜はここで糸を結ぶ
織機の音が止んだあと
町には風の音が残る

働き手不足の共和国 職人の時間

テキスタン共和国の人口は305,500人、働き手不足は10,500人。首都テキシャは曇り。兵力20,000人、領地47区画、国庫6,929億円、食料692,600トン。対外戦争はない。「人が足りないから早く仕上げたいのは分かる。でも急いで駄目にしたらやり直しだ」。染屋の主人は布の端を押さえた。

読書会の後も、軒先では作品の結末をめぐって語り合う声が続いた。次回の文化面は橙原を予定している。

テキスタン共和国
首都テキシャ
天気曇り
人口305,500人
兵力20,000人
国庫6,929億円
食料692,600トン
領地47区画
働き手の不足10,500人
対外戦争なし

小欄 染屋の軒先で

読書会後、参加者が主人に尋ねた。「本当にまだらの布を残すんですか」。主人は棚から小さな布を取り出した。「これは端だけ色が薄い。注文品には使えないが、試し染めの見本にはなる」。布を丁寧に畳み、主人は棚へ戻した。

人物紅峰11

木材400,000トンの森林整備 
山の境界を守る測量手

紅峰公国の柏木透、46歳 動く石に杭を打たず、残す木を見極める

尾根で紙と杖を持つ測量手
曇りのローテンホルン。柏木透は尾根で紙を広げ、杖を石の脇に立てた。

紅峰公国の首都ローテンホルン。曇り空の尾根で測量手の柏木透、46歳が杖で地面を確かめていた。第137期、公国は森林を整え、木材400,000トンを確保した。柏木の仕事は伐採前に範囲を定め、残す木と道を確かめることだ。

「杭を打つのは簡単さ。でもそこが正しい場所か確かめるのに時間がかかる」。柏木が石を踏むと、わずかに揺れた。「こういう場所へ打っちゃいけない」

若い頃の失敗 雨で流された杭

「昔、一度、打つ場所を間違えた」。急いで石を確かめず杭を打った夜、雨で土が崩れ、翌朝には杭が斜面へ落ちていた。「杭だけならまた打てる。でも、それを境界と思って誰かが木を伐っていたらどうなったか」。以来、柏木は岩や木の根も確かめる。「間違えた場所を後で直す方が、ずっと手間がかかる」

「動く石は、境界じゃない」

取材の日、前日の杭は踏むと揺れる石の上にあった。柏木は抜いて、動かない岩の脇へ打ち直した。若い手伝いが言う。「一本分、山側へ寄りますね」。「その一本は残す木だ」。柏木は大きな木を指した。「帳面の数字を揃えるために伐るんじゃない。残す木を先に決めるんだ」。手伝いは帳面に印を付けた。

木材400,000トン 現場を支える測量

国の木材備蓄へ加わった400,000トン。その陰では、どの木を伐り、どこを残し、荷をどの道で運ぶかを決める仕事がある。柏木は谷側を見下ろし、杖で地面を突いた。「この先は石が緩い。荷を通すなら少し遠回りだ」。「道が長くなりますね」と手伝い。「長くても、荷が落ちるよりいいだろう」。紙に新しい線が引かれた。

若い測量手に残したいもの

「最初は足元を見ろと言うんだ。図面では石が動くか分からない」。柏木は若い手伝いたちと山を歩く。手伝いの一人は「初めは細かい人だと思った。でも後から間違いが見つかると、皆が困ると分かった」と語る。

使い込んだ測量帳には、過去に間違えやすかった場所や残す木が書き込まれている。「次の人が同じ間違いをしないようにしておく。俺がいつまでも山を歩けるわけじゃないからな」

戦争のない紅峰 森を守る

紅峰は現在、対外戦争をしていない。人口86,400人、兵力20,000人、領地21区画。国庫7,725億円、食料1,063,900トン。「今日伐った木は明日には戻らない。だから残す木はちゃんと残さなきゃいけない」。仕事の終わりに柏木は杭の岩をもう一度突いた。岩は動かなかった。「これなら大丈夫だ」。帳面に印を付け、若い手伝いと山を下りた。

紅峰公国
首都ローテンホルン
天気曇り
人口86,400人
兵力20,000人
国庫7,725億円
食料1,063,900トン
領地21区画
木材の収納400,000トン
対外戦争なし

小欄 柏木の古い測量帳

紙の端が擦り切れた柏木の測量帳には「この石は動く」「雨の後は道に注意」「尾根の大木は残す」と細かな文字が並ぶ。手伝いが「全部覚えているんですか」と聞くと、柏木は笑った。「忘れるから書くんだよ」。そう言って新しい印を一つ加えた。