朝刊
第134期
トレーディア新聞社
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トレーディア
新聞THE TREDIA SHIMBUN
トレーディア暦2年10月第2週
秋季
本日11面
主な記事 黒潮、首都をネルヴェナへ フィルノアで100人死亡 泰平が翠湖の都市を占領 大火58,500人 いのらが市場を踏む 雪は43区画
総合黒潮の首都1

黒潮、ネルヴェナへ政府移転 
旧都陥落受け議長も移る

住民400人を移した村に政府機能 人口1,400人へ 旧都11,200人は王国領

雨のネルヴェナで荷物を抱える人々
雨のネルヴェナ(20,17)。傷んだ家屋の前で荷物を運ぶ住民たち。黒潮政府は第134期、この村を新たな首都と称した。

黒潮自治国は第134期、カペレナ王国に占領された旧都(16,12)を失ったため、政府をネルヴェナ(20,17)へ移した。黒潮政府は同村を新たな首都と称している。旧都は引き続き王国の占領下にある。かつて艦砲射撃で住民が絶えた村が、国の政治の中心となった。

政府移転の理由は、旧都がカペレナ王国の手に落ちたことにある。ネルヴェナでは前期、潮見玄吾議長が住民400人に移住を命じ、危険な住環境をめぐって批判が噴出していた。

ネルヴェナの人口は400人から1,400人へ増えた。旧都は依然として王国領にあり、人口は10,800人から11,200人となった。同じ期、王国の戦艦がフィルノアを艦砲射撃し、100人が死亡した。黒潮の総人口はネルヴェナ1,400人、フィルノア1,700人の計3,100人である。

旧都陥落で政府移転 移住先には批判も

ネルヴェナは第132期、艦砲で最後の住民100人が死亡し、無人となった村である。第133期、黒潮政府は400人をこの地へ移住させた。住宅には砲撃による傷みが残り、住民からは危険な土地への移住を命じられたことに批判が相次いだ。

「なんで俺たちが、誰もいなくなった村へ行かなきゃならないんだ」。移住を命じられた男性は前期、住宅と安全への不安を訴えていた。議長は、無人の村を放置すれば家屋や農地の荒廃が進むとして移住方針を掲げたが、批判は収まらなかった。

旧都の陥落を受け、今期は議長と政府がネルヴェナへ移った。批判していた住民たちは、傷んだ家屋の修理と安全対策を引き続き求めている。

潮見議長「国民と同じ土地で再起図る」

潮見議長は遷都に際し、国家の存続とネルヴェナの復旧を訴えた。「旧都は敵の手に落ちた。だが都を奪われたからといって、黒潮自治国が滅びたわけではない。我々には守るべき国民がおり、取り戻すべき土地がある」

さらに前期の強制移住への批判にも言及した。「私はこの地へ住民を移す決断を下した。家も安全も十分ではないとの声を忘れてはいない。国民に移住を求めながら、政府だけが離れた場所にとどまるわけにはいかぬ。評議会もここで開く」

議長は「我々はこの村から再起を図る。国民が暮らす限り、黒潮の旗を降ろすことはない」と語った。旧首都の死守を誓ってきた議長にとって、今回の遷都は大きな政治的転機となる。

「議長も来るなら」住民の受け止め複雑

「最初は私たちだけ危ない場所へ行かされるのかと思った。議長も来るなら少しは話が違うね」。前期に移住した男性は期待を示した。「一緒に暮らすなら、壊れた家や道も放っておかないだろう」

家の前で木材を積む女性は「偉い人が来たって、屋根は勝手に直らない。今度は役人も増えるんでしょう。先に来た私たちの住まいも何とかしてほしい」と訴える。政府の移転は歓迎と不安の双方を生んでいる。

無人の村から2期で首都へ 人口1,400人

第132期に人口0人となったネルヴェナは、前期400人、今期1,400人となった。雨の坂には修理を待つ家が並び、荷物を抱えた人々が行き交う。新たな政務施設の用意と並んで、住民の住まい、道路、食料の確保が急務となった。

「前期に来た人だって、まだ落ち着いて暮らせていない。都になったからって、先に住んでいる人を後回しにしないでほしい」。住民が求めるのは、首都の名にふさわしい日々の生活である。

「都が来れば、砲も来る」再攻撃を恐れる声

ネルヴェナの住民は艦砲射撃の記憶を抱え続けている。「都がこっちへ来るなら、敵の軍艦もこっちを狙うんじゃないか」。岸で漁具を畳む男性は沖を見た。「前は人がいなくなるまで撃たれた。政府が来たから安全だと言うなら、どう守るのか教えてほしいね」

「議長が来るのはありがたい。でも砲弾を止められるわけじゃない」。別の住民も安全対策を求めた。政府の政治的な決断は、住民にとって再攻撃への不安とも隣り合わせである。

旧都には11,200人 王国の支配下で暮らし続く

旧都(16,12)の人口は前期10,800人から11,200人に増えた。カペレナ王国の支配下にある都市では、今も商店が開き、人々が家族と暮らす。その人口は黒潮自治国の現人口3,100人を大きく上回る。

「都が移ったと聞いても、私たちはここに住んでいるんです」。旧都の商人は言った。「店も家もある。旗が変わったからといって簡単に離れられません」。住民の女性は「ここが黒潮の首都だったことまで、なくなるわけじゃないでしょう」と語った。

フィルノアに再び艦砲 100人死亡

遷都の同じ期、カペレナ王国の戦艦がフィルノアを砲撃し、100人が死亡した。人口は1,800人から1,700人となった。第128期の200人、第129期の200人、第131期の400人と合わせ、同都市で確認された艦砲による死者は900人に達する。

「また艦砲だよ。首都が移ったって聞いたけど、こっちには相変わらず砲弾が落ちてくる」。港の女性は傷んだ家並みを見た。「都の場所が変わっただけでは安心できません」

「議長も危ない村へ移ったのかもしれない。でも、フィルノアにも人が住んでるんだ」。残る1,700人の住民にとって、政府の責任はこれからも続く。

陸上戦果、黒潮が王国を上回る

第134期の陸上戦果は黒潮自治国1,700人、カペレナ王国1,100人。黒潮が600人上回った。累計戦果は黒潮99,000人、カペレナ147,800人。旧都と兵站基地を失った黒潮軍はなお抵抗を続ける。交戦詳細は2面。

泰平、戦争相手でない翠湖の都市を占領

泰平天国は戦争相手ではない翠湖自治州の都市を占領した。住民は10,200人。アルガリスト帝国の歩兵部隊も今期の戦闘で消滅した。第三国の都市の占領は地域情勢に新たな波紋を広げる。詳報3面。

3国で大火、58,500人死亡

チェス=シロバキア共和国、なのです主義人民共和国、泰平天国で大火が発生し、計58,500人が死亡した。前期の37,000人、前々期の29,200人と合わせ、3期の犠牲者は124,700人となった。詳報4面。

なのです、いのらが市場を襲撃

なのですでは怪獣いのらが市場を踏み荒らした。南部の港では、前期に港湾施設を破壊したクジラが衰えた状態で残っている。詳報5面。

次期、オリョルッルと緑丘が開戦

オリョルッル王国と緑丘公国は第135期に開戦。第136期には青海共和国とオリョルッル、第137期には黒潮とオリョルッルの開戦が予定されている。

本紙社説 移住を命じた村に、政府も移った

黒潮自治国は旧都の陥落を受け、政府をネルヴェナへ移し、新たな首都と称した。首都陥落後も政治機能を維持するための決断である。政府がネルヴェナを移転先に選んだのは、旧都がカペレナ王国に占領されたためだ。

ネルヴェナは第132期、艦砲で住民が絶えた村だった。政府はその地へ住民を送り、住宅や安全への不安を招いた。今期、議長と政府はネルヴェナへ移った。前期の移住命令への住民の批判は、家屋や安全の問題を残したままである。

前期の強制移住で生じた住民の不安は、政府の移転後も続く。傷んだ住宅の復旧、生活物資の確保、再度の砲撃への備えが欠かせない。新首都の1,400人が安心して暮らせるかが、政府の責任を測る試金石となる。

フィルノアでは今期も100人が死亡し、1,700人がなお暮らす。旧都に残る11,200人も忘れてはならない。住民に移住を命じた責任は、政府の移転後も続く。その土地で人々の暮らしを守ってこそ果たされる。

戦況黒潮戦線2

黒潮軍、首都失うも反撃続行 
今期戦果1,700人、王国軍は1,100人

第1方面軍が王国山岳兵と激戦 フィルノアは艦砲で100人死亡

カペレナと黒潮の戦場
カペレナ王国と黒潮自治国の戦場。ネルヴェナに首都の名が付き、戦艦はフィルノアへ砲を向けた。

黒潮自治国軍は首都陥落後も抵抗を続けている。第134期の陸上戦果は黒潮1,700人、カペレナ王国1,100人。黒潮が600人上回り、累計戦果は黒潮99,000人、王国147,800人となった。

前期、黒潮は臨時首都と兵站基地を奪われた。今期は政府をネルヴェナへ移したが、王国山岳兵と黒潮歩兵の交戦は続いた。フィルノアの守備隊も王国北方軍と戦い、王国戦艦は同市へ艦砲射撃を加えた。住民100人が死亡した。

第1方面軍、王国山岳兵と激戦

王国山岳兵は黒潮第1方面軍歩兵を攻撃し、700人の戦果を上げた。黒潮軍の反撃は400人。続いて黒潮第1方面軍歩兵が同じ王国山岳兵に攻撃し、900人の戦果を上げた。王国側の反撃も300人に達した。双方が攻撃と反撃を重ねた。

「首都を取られたからといって、戦争が終わったわけじゃない。まだ守る土地も人もいる」。黒潮の歩兵は語る。王国軍の山岳兵も「都を取っても抵抗は続いている。気は抜けない」と話した。

フィルノア守備隊、北方軍に攻撃

フィルノアの黒潮第3方面軍歩兵はカペレナ北方軍の歩兵に攻撃を加え、400人の戦果を上げた。王国軍の反撃による戦果は100人。「町には家族が暮らしている。簡単には明け渡せない」。黒潮軍の兵士は語った。

戦果では黒潮が上回るも、旧都は王国領

今期の陸上戦果は黒潮軍が600人上回った。しかし前期占領された旧首都と兵站基地は王国側にあり、戦線の情勢は黒潮に厳しい。首都を失った翌期も軍の抗戦は続いている。

カペレナ戦艦、フィルノアを再砲撃

王国の戦艦は現代都市フィルノアへ艦砲射撃を行い、市街に砲弾が命中した。100人が死亡し、人口は1,800人から1,700人となった。同市では第128期に200人、第129期に200人、第131期に400人が艦砲で死亡しており、今回を合わせ計900人の死者となった。

「また砲撃だ。そのたびに人が死んでいる」。港の男性は傷んだ建物を見つめた。「首都はネルヴェナに移ったが、フィルノアだって黒潮の町だ。ここも守ってほしい」。住民の願いは切実だ。

陸戦の抵抗と海上からの砲撃

黒潮は陸上で戦果を上げた。王国戦艦の砲弾は今期も住民の暮らすフィルノアに命中した。残されたネルヴェナとフィルノアをどう守るか。軍の抵抗と住民保護の両立が、黒潮政府の重い課題となった。

カペレナ王都、首都攻略を祝賀

王都カペナグラードでは前期の黒潮首都攻略を受け、祝勝ムードが広がった。王国政府は今期、発電所の完成も発表し、工場の出力向上に期待を示した。

「首都を取ったし、発電所もできた。景気のいい話が増えるといいね」。王都の商人は語る。しかし別の住民は「黒潮はまだ戦っている。戦争は早く終わってほしい」と前線を気遣った。

戦況論説 首都陥落は、戦争の終わりではなかった

黒潮は前期、首都と兵站基地を失った。しかし第134期も抗戦を続け、陸上戦果は1,700人と王国軍の1,100人を上回った。首都陥落によって戦争が終わることはなかった。

旧首都は今もカペレナ王国の支配下にあり、王国戦艦はフィルノアへの砲撃を続けている。今期も住民100人が死亡した。フィルノアでは砲撃により市街の建物が傷み、住民は再び避難を強いられた。

黒潮政府には残された国土と住民を守る責務がある。王国も首都を占領した以上、さらに犠牲を増やす戦争をどう終わらせるか向き合わなければならない。両国の指導者には、人々の命を守る道を求めたい。

小欄 旧シンジケート残党、平和への決断迫られる

旧シンジケート政府残党は今期もなのです主義人民共和国との戦闘を続けた。領土はわずか3区画で、最後の都市プライムに9,200人が暮らす。今期の戦果はなのです軍2,500人、残党軍700人だった。

前期までに兵站基地を相次いで失い、降伏勧告も受けた。「もう勝てる戦争じゃない。町までなくなったらどうするんだ」。住民からは終戦を願う声が上がる。軍事的な決着がほぼついた今、残党指導部は抗戦を続けるか、和平へ進むか決断を迫られている。

今期と累計の戦果
黒潮・今期1,700人
王国・今期1,100人
黒潮・累計99,000人
王国・累計147,800人
陸上の主な交戦
王国山岳兵→第1方面軍700人
第1方面軍→王国山岳兵900人
第3方面軍→王国北方軍400人
フィルノアの艦砲死者
第128期200人
第129期200人
第131期400人
第134期100人
合計900人
戦況泰平の攻勢3

泰平、非交戦国・翠湖へ侵攻 
都市占領、住民に怒りと恐怖

住民10,200人、突然の外国軍支配下に 湖陽も緊迫 アルガ歩兵一部隊消滅

泰平とアルガの戦場
泰平天国、アルガリスト帝国、翠湖自治州の国境地帯。泰平軍は非交戦国・翠湖の都市へ侵攻し、10,200人が暮らす町を占領した。

泰平天国は第134期、戦争相手ではない翠湖自治州の都市に侵攻し、これを占領した。町には10,200人が暮らす。アルガリスト帝国と交戦中の泰平軍が、宣戦布告を交わしていない第三国の領土を奪ったことで、翠湖の人々に衝撃と怒りが広がった。

占領都市の通りでは、泰平軍の兵士の姿に住民が足を止め、商店の戸が相次いで閉められた。町を離れる支度を始める人々もいる。首都湖陽では、次の侵攻が自分たちに向かうのではないかという不安が強まっている。

「戦争なんかしていない!」占領下の市街に怒号

「泰平の兵隊が来たぞ! どうしてここに来るんだ!」。市街に叫び声が響いた。親たちは子供の手を引いて家へ駆け込み、人々が見守る中、町に泰平の旗が掲げられた。

「戦争なんかしていないじゃないか! アルガと戦っているんだろう? ここは翠湖の町だぞ」。商店の男性は怒りをあらわにした。「昨日まで翠湖の町だったのに、今日から泰平だなんて、誰が納得するんだ」

「兵隊が家に来るんじゃないかと思って、子供を奥の部屋へ隠したんです」。住民の女性は声を震わせた。「戦争は遠くの話だと思っていた。それなのに、こんなことになるなんて」

店を閉めて荷物をまとめる人々の傍らで、「俺たちは翠湖の人間だ。勝手に町を奪うな」と怒鳴る声も上がった。占領で変わったのは国境線だけではない。住民は暮らしの場を外国軍に押さえられる恐怖に直面している。

湖陽に緊張走る「次は首都が襲われるのか」

「うちの町が取られたって? 泰平が攻めてきたのか!」。都市占領の報せが首都湖陽に届くと、湖畔の市場では商人たちが仕事の手を止めた。

「戦争をしていない国にまで攻め込むなら、湖陽だって安全じゃない」。桟橋で働く男性は怒りを隠さなかった。「アルガとの戦争だと思っていたのに、いきなりうちの国の町を取られた。次はここに来るのか」

「子供を連れて逃げた方がいいのか。でも、どこへ行けばいいんでしょう」。湖陽の女性は不安を口にする。湖陽は今期も翠湖の首都で、曇り空の下に15,100人が暮らす。

前期の湖陽では舟競争「櫂の一番」が催され、湖畔は歓声に包まれた。「この間まで皆で舟の競争を見ていたのに」。商人は言葉を落とした。「もう遠くの戦争だとは言っていられないよ」

泰平の侵略、周辺諸国にも不安

泰平が戦っている相手はアルガリスト帝国である。翠湖自治州はその戦争に参加していない。にもかかわらず泰平軍は翠湖の都市を占領した。戦争相手ではない翠湖の都市にも泰平軍が進入した。

「アルガを攻めたいならアルガと戦えばいい。なんでうちの国を巻き込むんだ」。占領された町の住民は憤った。10,200人が暮らす町には泰平の旗が掲げられ、翠湖の首都湖陽にはなお15,100人が暮らしている。

翠湖の人口8,700人減 湖陽は保持

翠湖自治州の人口は前期93,500人から84,800人に減った。領地は15区画のまま。今回占領された都市には10,200人が暮らす。首都湖陽の人口は15,100人で、引き続き翠湖の支配下にある。都市の占領に加え、住民の将来への不安が広がっている。

アルガ歩兵一部隊消滅 泰平装甲兵が攻撃

泰平軍は今期、アルガリスト帝国への攻撃も続けた。泰平の装甲兵による攻撃でアルガ歩兵一部隊が消滅。アルガ歩兵も装甲兵へ攻撃し100人の戦果を上げたが、泰平側は反撃で1,200人の戦果を記録した。

山岳兵同士も交戦し、泰平山岳兵は1,400人の戦果を上げ、アルガ側は600人の戦果で反撃した。アルガ山岳兵による攻撃では1,300人、泰平側の反撃では700人の戦果が記録された。

これまでの戦果、泰平9,900人・アルガ4,300人

今期の戦果は泰平3,300人、アルガ2,000人。これまでの戦果は泰平9,900人、アルガ4,300人となった。アルガの人口は82,800人から80,700人へ、兵力は65,300人から64,600人へ減少した。泰平の人口は476,400人から526,800人へ増え、領地は170区画から172区画となった。

戦況論説 戦争相手ではない国への侵略を許すな

泰平天国はアルガリスト帝国との戦争のさなか、非交戦国の翠湖自治州の都市へ侵攻した。10,200人が暮らす町は突然外国軍の支配下に置かれた。これは通常の戦線移動ではなく、第三国に対する侵略である。

「どうして私たちの町に兵隊が来るのか」。住民の怒りは当然だ。自国が戦争をしていないのに、外国軍が町へ進み、生活の場を奪う。子供をかばって家へ駆け込む人々に、軍事作戦の都合を説いたところで納得は得られまい。

泰平政府は侵攻の理由を説明し、占領下の住民の安全と生活を保障しなければならない。そして何より、翠湖への領土侵害を終わらせるべきだ。首都湖陽でも次の侵攻を恐れる声が広がっている。アルガとの戦争に他国の住民を巻き込むことを、本紙は強く非難する。

今期と累計の戦果
泰平3,300人
アルガ2,000人
これまでの泰平9,900人
これまでのアルガ4,300人
占領された都市
領有泰平
住民10,200人
天気曇り
湖陽15,100人
人口
泰平526,800人
アルガ80,700人
翠湖84,800人
社会大火4

3国で大火、58,500人死亡 
チェス31,300人、なのです24,600人

各地で都市・町が炎上 直近3期の死者124,700人に 教団は人口185,700人減

第134期、チェス=シロバキア共和国、なのです主義人民共和国、泰平天国で大火が発生し、計58,500人が死亡した。チェス31,300人、なのです24,600人、泰平2,600人。前期の37,000人を21,500人上回り、直近3期の火災死者は124,700人に達した。

住宅や店舗を焼かれた人々が焼け跡に集まり、家族の名を呼び、残された家財を拾い集めている。「まだ家族が戻ってこないんです。あの通りで見ませんでしたか」。家を失った女性は、行き交う住民に声を掛け続けた。

チェス、都市とニュータウンに大火 犠牲31,300人

最も大きな被害が出たチェスでは、都市とニュータウンが燃え、31,300人が犠牲になった。焼け落ちた通りで住民が桶を持って井戸に並び、家族を捜す声が響いた。

「娘が帰ってこないんです。家はもういい。あの子さえ無事なら」。焼け跡の女性は言葉を詰まらせた。家を失った男性は「戸を開けたら火がそこまで来ていた。何も持たずに逃げた。明日からどう暮らせばいいのか」とうなだれた。

ニュータウンでも新生活を築いていた人々が住まいを失った。「やっと家を持ったのに、こんなことになるなんて」。チェスの人口は938,600人。平地の開拓も進むが、被災地には住宅と生活の再建という課題が残る。

なのです、都市と町が炎上 24,600人犠牲

なのですでは都市と町が焼け、24,600人が犠牲になった。「火事だ、逃げろ!」。通りに叫び声が上がり、住民は子供の手を引いて避難した。

「隣の家から火が広がり、家財を取りに戻る間もなかった」。避難した女性は焼けた町を見つめた。首都電都のパン屋も「夜中に鐘が鳴って、隣の町の空が赤かった。うちの窯じゃない。向こうの屋根だった」と話した。

旧シンジケート残党との戦争、巨大怪獣による市場破壊なども重なる。「戦争も怪獣も火事も、もうたくさんだ。普通に暮らしたい」。国の人口は前期1,015,900人から1,029,000人へ増加したが、今期の火災で失われた命は戻らない。電都は晴れで10,100人、国内兵力は463,800人。

泰平、戦火のさなか町に大火

泰平天国でも町が燃え、2,600人の犠牲が出た。泰平はアルガとの戦争を続け、今期は非交戦国の翠湖へも侵攻した。焼けた町では住民が家財を探し、避難先の確保に追われた。

「どこの軍隊が勝ったとか、そんな話をしていたら、今度は自分の家が燃えた」。焼け跡の女性は語った。「国は外で戦っているけど、町の人間の暮らしも守ってほしい」。天都は晴れ。泰平の人口は476,400人から526,800人となった。

火災死者3期で124,700人

第132期29,200人、第133期37,000人、そして第134期58,500人。直近3期の火災死者は124,700人。「家は建て直せても亡くなった家族は帰ってこない」。被災者の救援と住まいの再建、延焼を防ぐための備えが各国に求められている。

教団、移民を一斉徴兵 前期流入者から兵集める

狐っ娘の尻尾教団は第134期、各地の町で一斉に徴兵を行った。対象となったのは、前期に教団へ渡ってきた移民ばかり。新天地での生活を始めた人々が、今度は軍服を着ることになった。

教団の人口は395,900人から210,200人へ、185,700人減った。兵力は371,900人。領地も81区画から85区画に広がった。前期に押し寄せた移民は、今期、軍の増強に充てられた。

「ようやく荷をほどいたと思ったら、もう兵隊か」。教団の町で商いを営む男は、兵士の列を見送った。「この間まで隣の家で暮らしていた連中だよ。畑を耕す暇もなかったろうに」

大量移民をめぐって古くからの住民との間に軋轢が生じていた教団。今度は移民を兵に取り立て、軍備を拡張した。町に根を下ろそうとしていた人々は、戦いに備える軍列へと加わった。

本紙論説 焼け跡に残された人々を救え

3国で58,500人が死亡した。死者一人ひとりに家族と生活があり、焼け跡には住まいを失った人々が残された。直近3期で124,700人もの命が奪われた。

国の人口が増え、町が発展しても、火災で失われた命は戻らない。各国政府には救援と住宅再建に加え、延焼を防ぐ町づくり、避難の備えを急ぐ責任がある。これ以上の犠牲を増やしてはならない。

火災の犠牲
チェス31,300人
なのです24,600人
泰平2,600人
今期58,500人
前期37,000人
直近2期95,500人
直近3期124,700人
教団
人口210,200人
前期の人口395,900人
兵力371,900人
領地85区画
社会怪獣5

巨大怪獣いのら、市場を踏み潰す 
商業区画壊滅、住民逃げ惑う

いのらなお現地に 北西の町は荒地、南部港ではクジラ残留

商業区画を踏み潰す巨大怪獣いのら
なのですの市場。巨大怪獣いのらが商業区画を踏み潰した。店舗や倉庫は壊滅し、怪獣は今も現地にいる。

なのです主義人民共和国で第134期、巨大怪獣いのらが市場の区画を踏み潰した。建物をはるかに超える巨体が迫り、店舗や倉庫、荷車が建物ごと押し潰された。市場は原形を失い、商人や買い物客は逃げ惑った。

「山が動いているのかと思った。地面が揺れて、見上げたら建物よりずっと大きなものがこっちへ来ていた」。市場近くの男性は語った。「振り返った時にはもう市場がなかった。毎朝通っていた場所が足の下に消えたんだ」。いのらは今もその区画にとどまっている。

「逃げろ!」市場が巨体の下に消える

「いのらだ、逃げろ!」。商人たちは売り物や商売道具を置いて逃げ、親たちは子供の手を引いて走った。巨大な足が市場を踏み潰し、屋根と壁が一度に崩れ落ちた。

「棚の商品が落ち、皆が外へ飛び出した。あいつが見えた時には、とても荷物なんか持てなかった」。乾物商の男性は避難先から怪獣の姿を見つめた。「あんな一歩で全部失うとは思わなかった」。

「店も通りも全部潰された」商人の怒り

「うちの店はあの辺りでした」。市場から離れた高台で、商人の女性は巨体の一角を指した。「毎朝、人が集まっていた場所です。でも今は、全部あいつに潰されてしまった」。

「何年もかけて店を大きくした。倉庫も商品も道具も、全部あそこだった」。別の商人は怒りをあらわにした。周辺住民も食料や日用品の買い物の場を失った。「毎日野菜も魚も買っていた。これからどこへ行けばいいんでしょう」。

体力1でも巨大な脅威 現地に居座る

いのらの体力は前期と同じ1。しかし巨体そのものが町を押し潰せる大きさであり、市場跡地には今も近づけない。

「体力が1でも、あんなものが倒れただけで町が潰れる」。住民は不安を隠さない。「いなくなったとしても店を一から造り直さなきゃならない」。

北西の町も荒地に かつての市街消滅

第133期にいのらが踏み潰した北西の町は、第134期には荒地となった。住宅や商店が並んでいた土地に町の面影はない。

「ここに家があった。向こうに店があって、坂の下に道が続いていた」。元住民は荒れた土地を見つめた。「何年も暮らしてきた町が、一踏みでなくなった」。いのらは北西の町から去ったが、今期は別の市場を破壊した。

南部港、クジラ居座り復旧難航

南部港では巨大怪獣クジラが今も港湾区画を占めている。前期に港の施設を踏み潰し、今期は体力が4から3へ低下したが、巨体は残った。

「弱っていても、あんなものが港にいたら近づけない」。港で働く男性は話した。「桟橋を直そうとしても、動き出したらまた全部潰される」。港は晴れ。船や荷物を扱う住民は港の復旧を待っている。

二体が居座り、復旧の手を阻む

北西の町は荒地となり、市場は壊滅、南部港ではクジラが居座っている。「怪獣がいなくなれば元どおりになるわけじゃない。町も店も港も、造り直さなきゃならない」。住民の暮らしを再建するための長い仕事が残されている。

小欄 市場のあった場所

「あそこが、うちの店だったんです」。市場から離れた高台に立つ女性は、巨大ないのらの足元を指した。「朝になれば店を開けて、野菜を並べて、お客さんと話して。それが毎日の仕事だった」。

今は怪獣の巨体が商業区画を覆い、店は見えない。「造り直すにしても、どこで始めればいいのか」。女性は空の荷車を押し、坂を下りた。

社会欄 相次ぐ災厄、なのですの暮らしを圧迫

今期は大火で24,600人が死亡し、いのらが市場を破壊した。北西の町は荒地となり、南部港にはクジラが居座る。旧シンジケート政府残党との戦争も続く。「戦争に勝つことも大事かもしれないけど、こっちの暮らしも何とかしてほしい」。住民の声は切実だ。

今期の怪獣
いのら市場に滞在
いのらの体力1
北西の町荒地
港のクジラ港に滞在
クジラの体力4→3
港の天気晴れ

市場と港の被害

いのらは市場の区画全体を踏み潰し、北西の町も荒地となった。クジラは南部港の施設を破壊し、今もその巨大な体で港の復旧を妨げている。

経済市況6

工業品62.67に下落、弾薬小幅高 
胡椒が貿易3位に浮上

主要資源は横ばい あろあろ貿易首位 オリョルッル国庫1,803億円減

第134期の工業品相場は前期63.59から62.67へ下落した。下げ幅は0.92、約1.45%。弾薬は89.94から90.10へ、0.16の小幅高となった。木材3.20、鋼鉄12、石油7.2、燃料6.8、石材5.6、鉱石4.8は横ばいだった。

「工業品が少し安くなったね。まとめて仕入れるなら、こういう時がいい」。交易所の商人は値札を確かめた。「ただ、安いから何でも買えばいいってものじゃない」。

胡椒帝国、貿易3位に浮上

貿易量はあろあろ国7,206が首位、なのです主義人民共和国4,821が2位、胡椒帝国3,797が3位に入った。前期3位は泰平天国の3,106だった。

「うちの商いが3位に入ったって? そりゃ景気のいい話だ」。胡椒の市で商人は荷車を前に笑った。航海の記録は青海共和国505、黒潮自治国262、緑丘公国61。

オリョルッル国庫1,803億円減 チェスも992億円減

オリョルッル王国の国庫は12,934億円から11,131億円へ減った。チェス=シロバキア共和国も13,323億円から12,331億円へ992億円減少。なのですは6,719億円から8,013億円へ1,294億円増加した。

黒潮は11,200億円から11,213億円へ13億円増、カペレナは3,891億円から3,890億円へ1億円減。同国の人口は314,000人から323,500人となった。オリョルッルでは新たな戦争を控え、国庫の動きにも関心が集まる。

各国から資源の売り出し16件

食料、木材、石油、鉱石、弾薬など計16件の売り出しが並ぶ。アルガの食料600が658、青海の石材102が535、白波の木材187が538、黄砂の鉱石118が537、紅峰の弾薬6が505。

青海の木材187が538、白波の鉱石124が539、朱川の燃料88が538。さらにアルガの石油82が535、朱川の弾薬6が536、紅峰の燃料78が535、青海の工業品8が502、白波の工業品9が516、黄砂の石油81が534。スルガの石材13は70、銀嶺の食料148は140。

「欲しい品があっても量と値が合わなきゃ商売にならない。いろんな国の出品を見比べるんだ」。交易商人は売り札に目を通した。

オリョルッル鉱山で落盤 採掘施設に被害

オリョルッル王国の鉱山で落盤が起き、開発段階が8から7へ低下、蓄積量165が失われた。なのですの鉱山でも落盤があったが、開発段階は1のままだった。

「せっかく掘り進めた坑道が崩れた。もう一度手を入れなきゃならない」。鉱山の作業員は崩れた坑口を見つめた。

相場
弾薬89.94→90.10
工業品63.59→62.67
木材3.20
鋼鉄12
石油7.2
燃料6.8
貿易と航海
あろあろ7,206
なのです4,821
胡椒3,797
青海の航海505
黒潮の航海262
緑丘の航海61
国庫(億円)
カペレナ3,890
チェス12,331
オリョルッル11,131
なのです8,013
黒潮11,213
気象雪と海7

雪域急拡大、9区画から43区画へ 
北部から南端まで降雪広がる

晴れ165区画減、曇り132区画増 中立駆逐艦が浅瀬へ魚雷

第134期の天気
第134期の天気。雪は北の端に広がり、南の端にも現れた。
第134期の海流
第134期の海流図。各地の海上航路を考える手掛かりとなる。

第134期、雪の範囲が前期の9区画から43区画へ急拡大した。北部で広がり、南端にも雪が現れた。世界8,100区画のうち晴れ3,606、曇り3,984、雨463、雪43、雷4。

「北の方だけと思っていたら、南の船も白くなった」。青海の港で船頭が縄を直しながら空を見上げた。「船を出す前には、行く先の天気も見なきゃならない」。

晴れ減り、曇り増える

晴れは前期3,771から165区画減り、曇りは3,852から132区画増えた。雨は465から463へ2区画減、雷は3から4区画へ増加。雪は前期の約4.8倍になった。

「昨日まで屋根が少し白いだけだったのに、今日は道まで雪だ」。北部の住民は家の前で雪をかいた。船頭たちも、海上の天候の変化に気を配る。

各地の空模様

ネルヴェナは雨、フィルノアは曇り、天都は晴れ、アルガリストは雨、電都は晴れ、湖陽は曇り、胡椒は曇り、ナンサプは雨、ピーヘンは晴れ。

中立駆逐艦、浅瀬へ魚雷発射

【海事部】中立の駆逐艦が、海上から浅瀬に向けて魚雷を発射した。「中立の船だから安心だと思っていたが、魚雷を撃つんじゃ話は違う」。港の船員は緊張を隠さなかった。周辺を航行する船舶にも警戒が広がった。

海流図と航路

海上では青海、黒潮、緑丘の船が今期も航海を重ねた。青海の航海記録は505、黒潮262、緑丘61。各港の船頭は天候と海流を確かめ、出航の支度を進めている。

空の区画
晴れ3,771→3,606
曇り3,852→3,984
雨465→463
雪9→43
雷3→4
合計8,100
入門第26回8

軍艦の四つの行動 
砲を撃つか、船を動かすか

通常・退治・巡航・停船の違い 一時待機と停船は別物

第26回は軍艦の四つの行動を学ぶ。通常、退治、巡航、停船。どれを選ぶかで、攻撃するか、移動するかが変わる。とりわけ間違えやすいのが「停船」と「一時待機」だ。

通常――攻撃してから移動

通常行動では、射程内に対象があれば攻撃し、その後に移動する。例えば戦艦は、条件が合えば敵の都市に艦砲を撃ち、目的地へ向けて進む。

退治――攻撃と移動を行う

退治も攻撃してから移動する。基本的な攻撃・移動の流れは通常と同じだ。行動の名前だけで、怪獣以外を攻撃しないと考えてはいけない。

巡航――攻撃せずに移動

巡航は砲を撃たず、目的地へ向かう。敵に近い海域を通る場合でも、巡航の艦は攻撃を行わない。「移動だけさせたいなら巡航だ」。港の船頭はそう話す。

停船――攻撃も移動もしない

停船では攻撃も移動もしない。近くに敵がいても砲を撃たない。船を動かさず、攻撃も止めたいときの指定である。

一時待機は停船ではない

一時待機はその期の移動だけを止める。通常・退治なら攻撃は残る。目的地の指定も消えず、次期には元の行動に戻る。「止めたのに砲を撃った? それは停船じゃなくて一時待機にしたからだ」。造船所の親方は海図を指した。

通常の戦艦が敵を射程に収めたまま一時待機すれば、艦は進まなくても艦砲射撃を行うことがある。攻撃させたくなければ停船にする。

怪獣を撃つときの行動

陸上の怪獣を攻撃するのは巡洋艦・戦艦・航空母艦。海上の怪獣には、軍艦ならどの艦種でも攻撃できる。いずれも通常または退治の行動で、射程などの条件を満たす必要がある。巡航と停船は怪獣を攻撃しない。

実例――カペレナ戦艦のフィルノア砲撃

今期、カペレナ王国の戦艦は黒潮のフィルノアを艦砲射撃し、住民100人が死亡した。条件を満たす通常・退治の戦艦は艦砲を撃つが、巡航・停船では撃たない。一時待機でも攻撃だけは残る点に注意したい。詳報は2面。

次回は「怪獣への射撃」。艦種と攻撃対象の違いを取り上げる。

四つの行動
通常攻撃する。移動する
退治攻撃する。移動する
巡航攻撃しない。移動する
停船攻撃しない。移動しない
一隻の指定
通常1000
退治1001
巡航1002
停船1003

小欄 砲を残す止まり方

「停船にすれば砲も止む。一時待機なら移動だけだ」。造船所の親方は海図の船を指した。「停船と一時待機は、まったく別の操作なんだ」

国特集桃谷9

桃谷の谷を染める実り 
雨の段々畑で収穫続く

ナンサプからサプヴァル、ナンリプへ 桃とともに暮らす連邦の人々

雨の段々畑で桃の籠を運ぶ人々
雨のナンサプ。石段を、桃を入れた籠が上っていく。

朝からの雨が、首都ナンサプの谷に築かれた石段を濡らしていた。斜面には桃の木が並び、収穫した実を詰めた籠がゆっくりと下りてくる。「そっちの籠、気をつけて! 石が滑るからね」。畑の上から声が飛んだ。

「桃は柔らかいからね。急いで転んだら、せっかくの実が台無しだ」。籠を背負った農夫は一段ずつ足場を確かめた。春には花で谷を彩った木々が、今は実りを迎えている。

谷を下る籠、首都の市場へ

段々畑で採れた桃は、坂を通ってナンサプの籠市へ運ばれる。朝から商人たちが実を手に取り、傷や熟れ具合を確かめていた。「こっちは今日食べるのにいい。硬いのは明日に取っておける」。客と商人の声が軒下に響く。

「雨の日は運ぶのに時間が掛かる。石段で転べば籠ごと傷むから」。農家の男は濡れた上着を脱ぎ、ようやく荷を下ろした。

桃の香り満ちるナンサプの籠市

傷のある実は取り分け、食べられる部分を煮詰めて保存食にする。「生で食べる桃もいいけど、保存しておけば季節が過ぎても味わえる」。市場の女は桃をそっと布で拭き、瓶に詰めた加工品を並べた。

サプヴァル、桃の粥を囲んで

サプヴァルの食堂では、種を取った桃を麦の粥に落とし、塩を一摘み加える。「甘いだけじゃ、畑仕事の後は物足りないでしょう」。店の女が碗を差し出すと、坂を何度も往復した農夫は「これを食べると明日も働ける」と笑った。

ナンリプ、石段で受け継ぐ仕事

ナンリプでも段々畑を行き来する籠が見られる。「子供の頃は空の籠から始めるんだ。慣れてきたら少しずつ桃を入れる」。年配の農夫は若い働き手を見守った。「急いだって桃が傷んだら仕方ない」。仕事の知恵は家族から家族へ受け継がれている。

戦火を離れた谷の暮らし

桃谷連邦共和国は今期、対外戦争をしていない。人口95,800人、兵力20,000人、領地15区画。国庫5,185億円、食料815,000トン。「戦争の話は聞く。でも桃は今日も熟すからね」。ナンサプの農夫は再び籠を背負い、雨の石段へ歩き出した。

桃谷の現況
首都ナンサプ
人口95,800人
兵力20,000人
国庫5,185億円
食料815,000トン
領地15区画
天気雨
対外戦争なし

小欄 桃を傷つけない籠

収穫用の籠には柔らかな草や布を敷く。「そのまま入れたら坂道でぶつかってしまう」。年配の農夫は若い働き手の籠から桃を一つ取り出し、別の籠へ移した。「重くしすぎないのも腕のうちだよ」

文化胡椒10

胡椒の市に広がる『粒の片側』 
商人の意地と記憶を描く

量目をごまかした過去、帳簿に残す商人 読書会で恨みと信用を議論

香辛料の市で秤を使う商人
曇りの胡椒。袋の粒を、真鍮の秤に載せる。

胡椒帝国の首都胡椒で、無署名の短編『粒の片側』が読書会の話題となっている。商売上の不正を何年も帳簿に残した老人の物語だ。「されたことは根に持ちますそれだけです」。帝国の掲げる言葉を思わせる内容に、読者の意見は割れた。

『粒の片側』――消されなかった帳簿

若い頃、ある商人から胡椒を買った老人は、受け取った袋の量が約束より少ないと気づいた。売り手は雨で袋が濡れたせいだと言ったが、乾かせば水分が抜け、胡椒の実際の量はさらに少なくなった。老人は不足分を帳簿に書き込んだ。

売り手は後日、不足分を埋め合わせて謝り、その後も二人は取引を続けた。しかし老人はその一行を消さなかった。店を閉じる日に息子が「返してもらったんでしょう。なぜ残すんです」と尋ねると、老人は答えた。「返してもらったことも書いてあるだろう」。帳簿には不足と償いの二行が並んでいた。

「根に持つ」と「覚えておく」は同じか

「謝って返したのなら、許してやればいい」。読書会の若者に、年配の商人は反論した。「悪かったことだけじゃない。返したことまで残している。恨みとは違うだろう」。別の参加者は、その後も商売を続けた二人の関係に目を向けた。

不正を消さないことは執念か、それとも信用のための記録か。読書会では結論の出ないまま夜が更けた。

市の秤と商人の信用

胡椒の市場では商人が香辛料の袋を秤に載せ、量目を確かめる。「一度ごまかしたら次から客が来なくなる」。店主は秤の皿を拭いた。「数字が合っていればそれでいい、というだけでもない。相手とまた商売できるかが大事なんだ」。

働き手8,500人不足、市にも影

帝国では働き手が8,500人不足している。人口78,500人、兵力40,300人、領地30区画。国庫4,456億円、食料760,600トン。「売る品はあるんだが、倉庫に運び込む人手が足りない」。荷積み場の商人は積み上がった袋を見つめた。今期の貿易量は3,797で3位だった。

読書会の終わりに

「俺なら返してもらったら帳簿の行を消すね」。帰り道で若者が言うと、年配の商人は笑った。「俺なら返してもらったことを、もう一行書くよ」。曇りの市に夜の灯がともった。

胡椒帝国
首都胡椒
人口78,500人
兵力40,300人
国庫4,456億円
食料760,600トン
領地30区画
天気曇り
貿易量3,797
対外戦争なし
今週の一冊
書名『粒の片側』
著者無署名
舞台胡椒の市
主題商売の信用と記憶

小欄 胡椒の香り

市の食堂では挽きたての胡椒を魚の鍋に落とす。「最後に加えないと香りが飛ぶからね」。女将は胡椒を一摘み振り、蓋を閉めた。通り掛かった客が足を止める。「今日は魚かい?」「そうだよ。胡椒を利かせてある」

人物ピーヘン11

舞台の翼は、この手から生まれる 
ピーヘンの衣装職人

リナ・フェルク、43歳 祝祭を彩る羽飾りを縫う 夜市の裏の仕事場

オラニウム連邦の首都ピーヘン。夜市がにぎわう頃、舞台裏の小さな仕事場で針を動かすのは、衣装職人リナ・フェルク、43歳。祝祭の踊り手が背負う羽飾りを、二十年以上作ってきた。机には緑と青の羽が色ごとに並ぶ。「舞台では一瞬しか見えないでしょう。でもその一瞬のために何日も掛けるんですよ」。

「表から見れば一枚の翼、裏は糸の数」

リナは羽を一本ずつ選び、布に縫い重ねる。「ただ並べればいいわけじゃない。踊ると隙間が見えるから、向きを少しずつ変える」。裏返した衣装には細かな縫い目が幾重にも走っていた。

「表から見れば一枚の翼だ。裏は、糸の数だよ」。リナは笑った。「見えないところを作らないと、表もきれいにならない」。

母の針箱から始まった仕事

母も舞台衣装の職人だった。「子供の頃は落ちた羽を拾うのが好きだった」。リナは古い針箱を開いた。布をそろえ、糸を通すことから始めたという。「最初の翼は羽の向きがばらばらで、母に全部やり直しと言われたよ」。今も母から譲られた針箱を使っている。

踊り手の動きに合わせて縫う

若い踊り手が衣装を身につけ、仕事場で両腕を広げた。「もう少し右を軽くしよう」。リナは羽を一枚外し、別の位置へ縫い直した。「リナさんの衣装は動いたときがきれいなんです」と踊り手。「それならよかった。踊る人が一番きれいに見えるのが私の仕事だから」。

ルッコラシティから夜の荷

羽と布の荷はルッコラシティから届く。「昼は祝祭の客で坂が詰まる。夜の方が荷車を通しやすい」と運搬人。届いた青い布を広げたリナは「待っていた色が来たね。これで仕上げられる」と声を弾ませた。祝祭の舞台は職人だけでなく、染め手や荷運びにも支えられている。

祝祭の陰に働く人々

連邦は「孔雀とUOが煌めく永遠の祝祭へようこそ」を掲げる。人口208,100人、兵力37,500人、領地42区画。働き手は2,900人不足する。「忙しいからって縫い目を減らすわけにはいかないでしょう」。リナの針は止まらない。国庫4,942億円、食料1,009,400トン。

夜市の粥、明日の舞台

仕事が一区切りつくと、リナは夜市で果実を載せた粥を食べた。「甘いのと塩の、どっち?」「今日は塩の方を」。食べ終えると、再び仕事場へ戻る。「あと少し。明日の舞台には間に合わせるよ」。灯の下で最後の羽に針が通った。

オラニウム連邦
首都ピーヘン
人口208,100人
兵力37,500人
国庫4,942億円
食料1,009,400トン
領地42区画
天気晴れ
対外戦争なし

小欄 舞台が終わったあと

祝祭が終わると、踊り手は衣装を仕事場へ戻す。「終わったら終わりじゃないんです」。リナは一着ずつ羽の緩みと切れた糸を点検した。「これはまだ使える。こっちは替えよう」。次の舞台に備える針仕事が始まった。