朝刊
第130期
トレーディア新聞社
定価 無料
トレーディア
新聞THE TREDIA SHIMBUN
トレーディア暦2年9月第3週
秋季
本日10面
主な記事 エスペランサ皇国滅亡 国境条約 黒潮の歩兵消滅 火災34,400人 雪は40区画 銀嶺
総合皇国滅亡1

エスペランサ皇国、ついに滅亡
チェス軍、三度目の首都を占領

相次ぐ遷都も実らず 東の森でも皇国軍敗退

森の縁の石の町に入る歩兵と、残された荷車
チェス軍が占領したエスペランサの町。皇国はこの町に三度目の首都を置いたが、わずか一期で失った。

チェス=シロバキア共和国軍がエスペランサ皇国の首都エスペランサ(81,63)を占領した。二度の首都陥落を経て、前期に三度目の首都を置いた皇国だったが、新たな都もわずか一期で奪われ、国家としての存続に終止符を打たれた。

皇国が首都を置いた町はチェス領に編入された。長く続いた両国の戦争は、皇国側の度重なる失地と最後の首都陥落によって、決定的な結末を迎えた。

首都の南に位置する「東の森」では、チェス軍と皇国軍の第2軍歩兵が交戦した。今期、チェス軍が皇国軍に与えた損害は3,000人、皇国軍がチェス軍に与えた損害は300人に上った。

三たび都を失い、皇国滅ぶ

エスペランサ皇国は、チェス軍の攻勢を受けて首都の移転を繰り返してきた。

最初の首都を奪われ、移転先の町も陥落。前期には新たな町へ政府を移し、再び「エスペランサ」の名を掲げた。

だが、三度目の首都を置いて間もなく、チェス軍が新都を占領した。

前号、新都では役所の移転に伴い、文書箱や家財を積んだ荷車が行き交っていた。

「今度の都は、いつまで持つのだろう」

本紙が前号に伝えた住民の言葉である。その懸念は、わずか一期で現実となった。

新都に掲げられた皇国の名は、長くは続かなかった。チェス軍の進出によって領有が変わり、エスペランサ皇国は国家としての歴史を閉じた。

東の森、チェス軍が圧倒

首都の南に広がる「東の森」でも、皇国軍は厳しい戦いを強いられた。

チェス軍が皇国軍に与えた損害は3,000人。皇国軍が相手に与えた損害は300人だった。

前期の戦果はチェス軍2,800人、皇国軍500人。二期を合わせると、チェス軍が与えた損害は5,800人、皇国軍は800人となる。

皇国軍は劣勢のなか反撃を続けたものの、この交戦とは別に、皇国は最後の首都を失った。

東の森における最後の交戦経過は3面で詳報する。

黒潮首都で歩兵一部隊が消滅

カペレナ王国と黒潮自治国の戦線でも戦闘が続いた。

カペレナ軍の北部攻撃隊は、黒潮の首都に展開する第1方面軍歩兵を攻撃。黒潮軍も応戦したが、この歩兵部隊は交戦の末に消滅した。

今期、カペレナ軍が黒潮軍に与えた損害は3,800人、黒潮軍がカペレナ軍に与えた損害は2,900人。累計戦果はそれぞれ136,200人、92,400人となった。

海上ではカペレナの巡洋艦が黒潮の駆逐艦に砲弾を命中させた。駆逐艦は沈没を免れた。

黒潮は首都の領有を維持しているが、その防衛を担っていた歩兵部隊の消滅により、守備態勢は新たな打撃を受けた。詳報は4面。

狐っ娘教団、隣接二国と国境条約

外交面では、狐っ娘の尻尾教団がオリョルッル王国及びなのです主義人民共和国との間で、それぞれ国境確定条約を締結した。

オリョルッル王国とは半島を東西に分割し、南部地域の領有についても合意した。教団は王国に鋼鉄600トンを提供する。

なのです主義人民共和国との条約では、同国が現在の進出範囲を越えて領土を拡大しないことを定めた。教団は第130期に500億円を送金した。

教団の幹部は、両国の押印が入った条約文書を掲げ、「我々の世代の平和は守られた」と演説した。

二つの条約の詳報は2面。

国際国境条約2

狐っ娘、隣接二国と国境条約締結
オリョルッル・なのですと領土境界を確定

半島と南部地域の帰属で合意 なのですへ500億円送金済み、王国へ鋼鉄600トン提供へ

紙切れを掲げて演説する、狐の耳と尻尾のある幹部
「我々の世代の平和は守られた」 なのです・オリョルッル両国の押印の入った紙切れを手に演説する教団幹部

狐っ娘の尻尾教団は、オリョルッル王国及びなのです主義人民共和国との間で、それぞれ国境確定条約を締結した。オリョルッル王国とは半島及び南部地域の帰属を定め、なのです主義人民共和国とは同国の現在の進出範囲を国境として固定することで合意した。

教団は条約に基づき、なのです主義人民共和国へ第130期に500億円を送金した。一方、オリョルッル王国への鋼鉄600トンの提供は今後行われる。両国との領土交渉が合意に至ったことで、教団周辺の国境をめぐる外交は大きな節目を迎えた。

半島の西部は王国、東部は教団領に

オリョルッル王国との協議では、両国が接する半島の領土境界が主要な議題となった。

双方は半島を東西に分割し、西側をオリョルッル王国領、東側を狐っ娘の尻尾教団領とすることで合意した。

両国の領地が入り組む半島では、境界の位置が今後の領土管理に直結する。今回の条約は、両国がそれぞれ領有する地域を明確に定めるものとなった。

南部地域、一区画を残し教団領へ

半島南部の領土交渉では、クジラの一区画をめぐって双方の要求が調整された。

オリョルッル王国側は、将来この区画を港湾として利用する構想を持ち、その確保を求めた。王国は当該区画を領有できるのであれば、その他の南部地域は教団領として認める意向を示した。

教団側はこれを受諾した。

南部地域の大部分を教団領とする一方、王国は将来の港湾整備を見据えた一区画を確保する。双方が重視する土地の帰属を調整することで、領土配分についての合意が成立した。

なお、当該区画は現時点では中立地のままであり、今後の領有変更によって王国領となる予定である。

教団、王国に鋼鉄600トンを提供

領土確定に伴い、狐っ娘の尻尾教団はオリョルッル王国に鋼鉄600トンを提供することで合意した。

交渉の過程では資金の支払いも協議されたが、最終的な条約では金銭の支払いは行わず、鋼鉄600トンの提供を条件とした。

鋼鉄の引き渡しと領土の変更は、今後、条約に従って履行される。

なのです、現進出地域で拡大停止

狐っ娘の尻尾教団は、なのです主義人民共和国との国境についても合意に達した。

条約では、なのです主義人民共和国が現在までに進出した地域を基準として両国の領土境界を定め、同国はこれ以上の領土拡大を行わないことを約した。

なのです側は既に進出した地域を確保する一方、その先にある教団領への進出を停止する。

教団側にとっては、なのですの領土拡大を食い止め、今後の国境管理の基準を確立する合意となった。

教団、なのですへ500億円送金

なのです主義人民共和国との条約に基づく500億円の支払いは、第130期に実行された。狐っ娘の尻尾教団は同国への送金を完了した。

この送金は、なのです側が現在の進出範囲を越えないと約束した国境確定条約に基づくものだ。

両国は、これまでの進出によって形成された境界を条約によって固定することになる。

一方のオリョルッル王国との条約が領土の東西分割と一区画の帰属を定めたのに対し、なのですとの条約は、これ以上の領土拡大を停止することに重きを置いた内容となった。

「我々の世代の平和は守られた」

両国との条約成立を受け、狐っ娘の尻尾教団の幹部は、なのです・オリョルッル両国の押印が入った文書を掲げ、集まった住民らに向けて演説した。

「我々の世代の平和は守られた」

幹部はそう宣言し、国境問題が外交交渉によって決着したことを強調した。

白と紫の祭服をまとった幹部が文書を高く掲げると、広場に集まった住民たちから歓声が上がった。

教団は隣接二国との国境確定を外交上の成果として示したが、条約による新たな領土境界は、今後の履行を経て具体化される。

条約成立、残る領土移管と履行

今回の二つの条約では、領土の配分、進出停止、資金・資源の提供について双方の合意が成立した。

オリョルッル王国との間では半島の東西と南部地域の帰属を確定し、なのです主義人民共和国との間では現進出範囲を越えないことを定めた。

教団はなのです主義人民共和国への500億円の送金を終えた。一方、オリョルッル王国への鋼鉄600トンの提供は今後の履行事項となる。

今後は領土の引き渡し、鋼鉄600トンの提供、なのです側による進出停止の遵守が焦点となる。

オリョルッル王国との領土確定条約
半島西部オリョルッル王国領
半島東部狐っ娘の尻尾教団領
南部地域対象の一区画を除き教団領
クジラの一区画オリョルッル王国領
鋼鉄の提供教団から王国へ600トン
金銭の支払いなし
なのです主義人民共和国との国境確定条約
国境の基準なのですの現在の進出範囲
なのです側の義務現進出範囲を越える領土拡大の停止
教団側の履行500億円を第130期に送金済み
条約に伴う資金・資源の提供
提供元提供先内容履行状況
狐っ娘の尻尾教団オリョルッル王国鋼鉄600トン今後提供
狐っ娘の尻尾教団なのです主義人民共和国500億円第130期に送金済み

条約の履行状況

両条約は締結済み。なのです主義人民共和国への500億円は第130期に送金済み。領土の移管とオリョルッル王国への鋼鉄600トンの引き渡しは今後の履行事項となる。

南部地域でオリョルッル王国領となる予定の一区画は、現在、中立地にある。

戦況東の森3

東の森、皇国軍に3,000人の損害
チェス第2軍歩兵が攻勢 皇国軍の戦果は300人

二期の損害5,800人に 首都エスペランサもチェス領へ

東の森と、チェス領になった町の図
エスペランサ南方の「東の森」。チェス第2軍歩兵と皇国第2軍歩兵が交戦した。皇国が最後に首都を置いたエスペランサの町(81,63)はチェス領となった。

エスペランサ皇国が滅亡した第130期、同国最後の首都エスペランサの南に位置する「東の森」では、チェス=シロバキア共和国軍と皇国軍の第2軍歩兵が交戦した。

チェス軍は攻撃と反撃で皇国軍に合わせて3,000人の損害を与えた。皇国軍も反撃を含む攻勢で応戦したが、チェス軍に与えた損害は300人だった。

両軍は前期も同じ地域で戦っており、二期の交戦による皇国軍の損害は計5,800人に達した。

一方、皇国が前期に三度目の首都を置いた町(81,63)は今期、チェス軍に占領された。二度の遷都を経て建てられた新都も敵軍の手に落ち、エスペランサ皇国は滅亡した。

第2軍歩兵同士が交戦

東の森では、チェス軍と皇国軍の第2軍歩兵が攻撃を交わした。

交戦記録によると、チェス第2軍歩兵は皇国第2軍歩兵に攻撃を加え、2,100人の損害を与えた。皇国軍の反撃によって、チェス軍にも100人の損害が生じた。

皇国第2軍歩兵も攻撃を行い、チェス軍に200人の損害を与えた。しかし、これに対するチェス軍の反撃によって、皇国軍はさらに900人の損害を受けた。

一連の攻防で皇国軍が受けた損害は3,000人。チェス軍の損害は300人となった。

皇国軍は自らも攻撃を行ったが、チェス軍の攻撃と反撃によって多くの兵員を失った。

二期の交戦、皇国軍の損害5,800人

東の森の戦闘は前期から続いていた。

第129期、チェス軍は皇国軍に2,800人の損害を与えた。皇国軍もチェス軍に500人の損害を与えたが、両軍の戦果には大きな開きがあった。

第130期にはチェス軍がさらに3,000人の損害を与え、皇国軍の戦果は300人となった。

二期を通じて、皇国軍が受けた損害は5,800人、チェス軍が受けた損害は800人に上る。

相次ぐ首都の陥落と領土の縮小に加え、皇国軍は東の森の戦線でも大きな損害を受けていた。

三度目の首都も占領される

前期、エスペランサ皇国は二度にわたる首都陥落を経て、新たな町に首都を移した。

新都の名もエスペランサ。皇国は失地が続くなか、三度目の首都を設けて国家の存続を図った。

しかし、今期にはその町もチェス軍に占領された。

東の森で両軍が交戦した同じ期に、皇国最後の首都はチェス領となった。

今回の交戦で皇国軍はなお300人の損害を相手に与えていたが、国の中心となる町を守ることはできなかった。

エスペランサ皇国は、相次ぐ失地と最後の首都陥落によって国家としての歴史を閉じた。

皇国滅亡の経緯については1面で詳報した。

南方海域、中立駆逐艦が魚雷発射

南方海域では、今期も中立の駆逐艦による魚雷発射があった。

前期には同海域で中立駆逐艦の魚雷がチェス=シロバキア共和国の商船に命中した。商船は被弾したものの沈没を免れている。

第130期には南方の海と浅瀬で魚雷が発射された。

陸上でエスペランサ皇国との戦争が終結する一方、南方海域では引き続き魚雷を用いた攻撃が行われている。

第130期・東の森の交戦
攻撃部隊相手に与えた損害反撃で受けた損害
チェス第2軍歩兵2,100人100人
皇国第2軍歩兵200人900人
二期の戦果(相手に与えた損害)
軍第129期第130期二期計
チェス軍2,800人3,000人5,800人
皇国軍500人300人800人
皇国・チェス戦線
交戦国チェス=シロバキア共和国・エスペランサ皇国
交戦地東の森
交戦部隊双方の第2軍歩兵
皇国最後の首都エスペランサ
首都の位置(81,63)
今期の首都占領チェス軍
皇国の状況滅亡
南方海域の動向
時期出来事
第129期中立駆逐艦の魚雷がチェス商船に命中。商船は沈没を免れる
第130期南方の海と浅瀬で中立駆逐艦が魚雷を発射
戦況・軍事黒潮・カペレナ/オリョルッル・緑丘4

黒潮首都の守備歩兵、交戦で消滅
カペレナ軍の攻撃続く 黒潮は首都の領有を維持

巡洋艦の砲撃で駆逐艦被弾 自国兵站基地には対人ミサイル着弾

黒潮の首都とフィルノアの図
黒潮自治国の首都とフィルノア周辺。首都では黒潮第1方面軍歩兵の一部隊が消滅。森林地帯では装甲兵と空兵が交戦した。沖合では黒潮駆逐艦がカペレナ巡洋艦の砲撃を受けた。

カペレナ王国軍が黒潮自治国の首都に対する攻撃を続け、同地に展開していた黒潮第1方面軍歩兵の一部隊が交戦の末に消滅した。

カペレナ軍の北部攻撃隊は首都の歩兵部隊に攻撃を加え、900人の損害を与え、黒潮側の反撃で100人の損害を受けた。別の交戦では黒潮歩兵がカペレナ軍に100人の損害を与えた後、相手の反撃によって消滅した。

黒潮自治国はなお首都の領有を維持している。しかし、首都を守備していた一部隊の消滅は、都市の防衛に打撃を与えた。

今期、カペレナ軍が黒潮軍に与えた損害は3,800人、黒潮軍がカペレナ軍に与えた損害は2,900人だった。

首都の攻防、守備部隊を失う

黒潮の首都をめぐる戦闘は、前期から続いていた。

第129期、カペレナ軍は黒潮の現代都市オルシアと兵站基地を占領した。黒潮は都市と兵員補充の拠点を同時に失い、首都周辺でも敵軍の攻撃を受けていた。

今期、王国軍の北部攻撃隊は、首都に展開する黒潮第1方面軍歩兵を攻撃した。

黒潮軍は応戦したものの、交戦の末に一部隊が消滅した。

首都そのものは黒潮領に残った。だが、守備部隊を失ったことで、黒潮軍は今後の防衛態勢を立て直さなければならない。

前期に兵站基地を失ったことも、その負担を重くしている。

森林でも激戦、装甲兵と空兵交戦

首都周辺の森では、カペレナ王国軍の装甲兵と黒潮自治国軍の第32軍空兵が交戦した。

カペレナ装甲兵は黒潮空兵を攻撃し、1,600人の損害を与えた。この攻撃に対して装甲兵側も300人の損害を受けた。

黒潮第32軍空兵も反撃に出て、カペレナ装甲兵に800人の損害を与えたが、相手の反撃によって500人の損害を受けた。

両軍は攻撃と反撃を繰り返し、森林地帯でも激しい戦闘が続いた。

首都の歩兵一部隊が消滅した一方、周辺の森では黒潮軍がなお敵装甲兵に反撃を加えている。

フィルノア周辺でも交戦

黒潮自治国の現代都市フィルノア周辺でも戦闘が続いた。

同地の第3方面軍歩兵は、隣接する山岳兵を攻撃して1,600人の損害を与えたが、自らも800人の損害を受けた。

フィルノアは、前期まで二週続けてカペレナ軍の艦砲射撃を受け、市民400人が命を落とした都市である。

市街地が砲撃による被害を受けるなか、周辺では今期も地上部隊の交戦が続いている。

巡洋艦の砲弾、黒潮駆逐艦に命中

海上では、カペレナ王国軍の巡洋艦が黒潮自治国の駆逐艦を砲撃し、命中弾を与えた。

黒潮駆逐艦は被弾したものの、撃沈は免れた。被弾後の耐久値は3となった。

カペレナ軍の戦艦も同じ海域に砲を向けた。

一方、黒潮軍の駆逐艦二隻は、陸上の森林地帯に向けて艦砲射撃を行った。

両軍の戦闘は首都周辺の陸上だけでなく、沖合からの砲撃を伴うものとなっている。

黒潮の対人ミサイル、自国兵站基地を直撃

今期の戦闘では、黒潮自治国の対人ミサイルが自国の兵站基地に着弾し、多数の負傷者が出た。

兵站基地は、陸軍の兵員補充を支える重要な施設である。その拠点が敵軍ではなく、自国のミサイルによって被害を受けたことは重大だ。

前期にはカペレナ軍によって別の兵站基地が占領されており、黒潮軍は補充拠点をめぐって厳しい状況に置かれている。

自国基地への着弾で負傷した人々の救護に加え、攻撃に至った経緯の調査と、同様の事態を防ぐ措置が求められる。

両軍の累計戦果、なお拡大

今期の戦果は、カペレナ軍が相手に与えた損害3,800人、黒潮軍が相手に与えた損害2,900人となった。

累計戦果はカペレナ軍136,200人、黒潮軍92,400人に達した。

黒潮自治国の兵力は前期の76,000人から74,200人に減少。一方、カペレナ王国の兵力は135,200人から145,400人に増加した。

黒潮は首都を保持しているが、前期の都市・兵站基地の喪失に続き、今期は守備歩兵の一部隊を失った。

首都の防衛に必要な戦力をどう維持するかが、黒潮軍の大きな課題となっている。

オリョルッル、緑丘に宣戦布告

工場・農場の争奪、軍港占領を経て開戦へ

第135期に戦闘開始予定 長期化した領土対立、武力衝突の危機

オリョルッル王国は第130期、緑丘公国に宣戦を布告した。開戦は第135期とされ、両国は正式な戦争状態へ移行することとなる。

両国間では以前から領土をめぐる対立が続いており、工場や農場の領有が度々入れ替わっていた。第127期にはオリョルッル王国が緑丘公国の軍港を占領し、緊張が一段と高まっていた。

今回の宣戦布告は、こうした領土紛争の末に行われたものだ。

工場と農場、双方が領有を争う

両国の対立は今期に始まったものではない。

第114期、オリョルッル王国は緑丘公国が保有していた工場(18,45)を占領した。

その後、緑丘側は失地の回復を進め、第125期には同地に工場を建設して領有を取り戻した。

別の場所でも領土をめぐる動きがあった。

第120期にオリョルッル領だった森林(14,45)は、第124期に農場として整備された。しかし第126期、緑丘側が農場の整備を行い、この土地を取得した。

第125期から第126期にかけて緑丘はオリョルッル領の一部を相次いで取得。施設の整備がそのまま領土の移動につながる状況が続いた。

工場や農場は経済活動を支える施設であるとともに、両国の領有権をめぐる争いの対象となっていた。

第127期、オリョルッルが緑丘軍港を占領

関係悪化を決定的にした出来事の一つが、第127期の軍港占領である。

オリョルッル王国は、緑丘公国が保有していた軍港(17,50)を占領し、自国領に組み入れた。

これにより、緑丘公国の領土は17区画から16区画に減少した。

軍港は艦船の活動を支える軍事施設である。その領有を失うことは、工場や農地を奪われる場合とは異なる軍事上の意味を持つ。

当時、両国は正式な戦争状態にはなかった。にもかかわらず、一方の軍事施設が他方の領土に組み入れられる事態が生じていた。

オリョルッル側は以前、「掣肘を加えるのです」と発言し、緑丘の動きを牽制する姿勢を示していた。

工場、農場、そして軍港。両国の領土をめぐる対立は、重要施設の領有を中心に続いてきた。

第135期開戦へ 国境の緊張高まる

第130期の宣戦布告によって、両国の対立は新たな段階に入った。

開戦予定は第135期。今期の段階では両軍による交戦は始まっていない。

緑丘公国にとっては、軍港を奪われた相手国から正式に宣戦を布告されたことになる。オリョルッル王国にとっても、領土の取得と喪失を繰り返してきた隣国との対立を、軍事的に決着させる局面を迎える。

両国の国境に近い施設では、戦争の開始を前に警戒が強まる。

「工場を取られたときは、また取り返せばよいと思った。だが戦争となれば、土地だけの話では済まなくなる」

国境近くの住民は、開戦への不安を口にした。

第135期までに外交上の進展があるか、それとも予定どおり戦闘が始まるのか。両国の軍事行動と国境付近の情勢が注目される。

カペレナ・黒潮両軍の戦果
国第129期第130期累計戦果
カペレナ6,100人3,800人136,200人
黒潮1,600人2,900人92,400人

各国が相手軍に与えた損害。累計は第130期まで。

主な陸上戦闘
黒潮の首都カペレナ北部攻撃隊が黒潮第1方面軍歩兵に900人の損害。黒潮歩兵は100人の損害を与えた後、反撃で消滅
首都周辺の森カペレナ装甲兵が黒潮第32軍空兵に1,600人の損害、反撃でカペレナ装甲兵が300人の損害
同森林地帯黒潮第32軍空兵が装甲兵に800人の損害、反撃で500人の損害
フィルノア周辺第3方面軍歩兵が山岳兵に1,600人の損害、自らも800人の損害
海上戦闘・ミサイル被害
カペレナ巡洋艦黒潮駆逐艦に砲弾命中
黒潮駆逐艦被弾後の耐久値3、沈没せず
カペレナ戦艦同海域に砲撃
黒潮駆逐艦二隻森林地帯を艦砲射撃
黒潮の対人ミサイル自国兵站基地に着弾、多数負傷
両国の国勢
項目黒潮自治国カペレナ王国
人口15,900人279,500人
兵力74,200人145,400人
前期兵力76,000人135,200人
首都の天候晴れ曇り
オリョルッル・緑丘の領土紛争
時期経緯
第114期王国が緑丘領の工場を占領
第125期緑丘が工場を再建し、領有を回復
第126期緑丘が旧王国領の農場を取得
第127期王国が緑丘の軍港を占領
第130期王国が緑丘へ宣戦布告
第135期開戦予定
社会大火と戦況5

各国で大火相次ぐ 死者34,400人
なのですで18,500人犠牲 チェス、泰平でも被害甚大

各国で相次いだ火災により、第130期だけで34,400人が死亡した。なのです主義人民共和国では五つの町で18,500人、チェス=シロバキア共和国では二つの都市で11,100人、泰平天国では一つの町で4,800人が命を落とした。

焼け落ちた家屋の跡には黒く焦げた柱が残り、煙の立ちこめる通りを住民が家族の名を呼びながら歩いた。火の手を逃れた人々は、持ち出せたわずかな家財を抱えて広場や町外れに集まった。住まいを失った者、家族の帰りを待つ者、焼け跡から生活の道具を拾い集める者。火が収まった後も混乱は続く。

なのです、五つの町で18,500人死亡

被害が最も大きかったのは、なのです主義人民共和国だった。五つの町で発生した火災による死者は、それぞれ4,700人、3,100人、4,900人、2,600人、3,200人に上る。

最も犠牲者の多かった町では4,900人が死亡した。住宅が並んでいた一角は一面の焼け跡となり、崩れた家屋の間を人々が歩いていた。

「火が見えたときには、もう隣の家まで燃えていた。何も持たずに逃げるしかなかった」

家族とともに避難した住民は、焼け落ちた自宅を見ながら話した。別の町では、火災から逃れた人々が無事だった家屋や公共の建物に身を寄せ、食事や寝具を分け合って夜を過ごした。

焼失した家屋の再建には木材や石材が必要になる。商店や作業場を失った住民にとっては、住む場所だけでなく働き口も問題だ。旧シンジケート連邦政府残党との戦争を続ける同国は、軍への物資供給と並行して被災地の生活を立て直す負担を抱える。

チェスでは二都市で11,100人犠牲

チェス=シロバキア共和国でも大きな火災が相次いだ。二つの都市でそれぞれ5,300人、5,800人が死亡し、合わせて11,100人の犠牲者を出した。

火災を免れた通りには避難者が集まり、家族や知人の安否を尋ねる声が絶えなかった。「昨日まで店を開けていた人が、今日はどこにいるのかも分からない」。焼け跡を訪れた住民は、商店の跡を見つめた。

チェスは今期、エスペランサ皇国最後の首都を占領した。戦場で勢力を広げる一方、国内では相次ぐ火災によって多くの市民が命を落としている。軍事的な勝利の陰で、被災した都市の復興が急務となった。

泰平でも4,800人死亡

泰平天国の町でも火災が発生し、4,800人が死亡した。焼け落ちた家々のそばでは、火を逃れた住民が瓦礫を片付け、使える木材や生活道具を拾い集めていた。

一軒の家の跡で、煤に汚れた茶碗を見つけた女性が足を止めた。「家はなくなっても、ここで暮らしてきたことまでなくなるわけじゃない」。女性は茶碗を布に包み、避難先へ戻っていった。

町の復旧には、住まいの確保に加え、食料の供給、道路の片付け、商店や作業場の再建が必要になる。

八つの町・都市で被害、問われる復興

火災はなのですの五つの町、チェスの二つの都市、泰平の一つの町、合わせて八か所に及んだ。死者34,400人という数字の背後には、それぞれの家族や仕事、地域の暮らしがある。

各地では戦争や領土紛争が続く。だが、戦場から離れた町にも災厄は及ぶ。焼け跡に残された人々に必要なのは当座の屋根だけではない。食料を届け、働く場所を取り戻し、家族と再び暮らせる町を築くことである。

別記事 なのです軍、残党領の山岳地帯占領

【戦況部】なのです主義人民共和国軍が、旧シンジケート連邦政府残党の保有していた山岳地帯を占領した。今期、なのです軍が残党軍に与えた損害は2,900人、残党軍がなのです軍に与えた損害は1,000人だった。

累計戦果はなのです軍が約100,900人、残党軍が約42,200人。前期にはなのです軍が残党領の海底油田と兵站基地を占領しており、残党側は今期さらに領土を失った。

山地は平地と異なり、部隊の移動や進出に地形上の制約が大きい。占領された山岳地帯の周辺でも、今後の両軍の動きが注目される。旧政府残党の首都プライムはなお同勢力の支配下にある。

第130期の火災犠牲
国発生死亡者
なのです5か所18,500人
チェス2か所11,100人
泰平1か所4,800人
合計8か所34,400人
なのですと残党の戦果
国今期与えた損害累計
なのです2,900人約100,900人
残党1,000人約42,200人
残党領の山岳地帯と、なのです軍の配置
なのです軍が占領した残党領の山岳地帯。戦況図は別記事に対応。
経済相場と港6

弾薬・工業品相場、そろって続落
弾薬90.80、工業品65.52 国庫は増減分かれる

交易市場で弾薬と工業品の値下がりが続いている。第130期の弾薬相場は前期の92.08から90.80へ1.28下落。工業品も66.51から65.52へ0.99値を下げた。両商品とも二期連続の下落となる。

弾薬は第128期の93.52から第129期に92.08、今期は90.80へ下がった。二期で2.72の値下がりとなり、相場は90台前半まで低下した。工業品も第128期の67.57から第129期に66.51、今期は65.52となり、二期で2.05下落した。

各地で戦争が続き軍需物資の消費が重なる一方、交易市場では弾薬と工業品が値下がりし、鋼鉄や石油などは横ばいだった。木材3.20、鋼鉄12、石油7.2、燃料6.8、石材5.6、鉱石4.8は前期と同水準。

なのです、国庫7,381億円に 前期比2,364億円増

主要国の財政状況に大きな変化が見られた。なのです主義人民共和国の国庫は5,017億円から7,381億円へ2,364億円増加した。カペレナ王国も2,163億円から3,933億円へ1,770億円増えた。

オリョルッル王国は10,684億円から11,928億円へ1,244億円増加。一方、チェス=シロバキア共和国は11,373億円から10,973億円へ400億円、黒潮自治国は11,420億円から11,209億円へ211億円減少した。

また、オリョルッルは教団との国境条約により鋼鉄600トンの提供を受けることで合意した。金銭の支払いを伴わず、資源の引き渡しは今後行われる。条約の詳細は2面。

港と軍港、隣接する新設を禁止

【海運部】港に隣接する土地への軍港建設と、軍港に隣接する土地への港の建設が、今後は禁止される。すでに建設されている港や軍港については、隣接していても撤去の対象とならない。

港は商船の出入りする交易拠点、軍港は軍艦を運用する軍事施設だ。新設に際しては隣接する施設の有無を考慮しなければならない。

港の入口を塞ぐ部隊配置にも制限

人の指揮を待たずに動く国は、自国の港の入口を軍艦や兵員で塞がないよう配置する。港の出入口に艦船が居座れば商船の入出港に支障が出る。今回の変更は、すべての国の艦船配置を一律に禁じるものではない。

交戦国の封鎖、商船は6期で引き返す

戦争中の国の軍艦が港の入口を塞いでいる場合、進入できない商船は6期を経過すると引き返す。一方、平時に他の船舶が進路を塞いでいる場合は、港の近くで待機する。港湾の封鎖が長引けば物資輸送に影響が及ぶ。

地元価格は民間在庫で動く

国ごとの地元価格は、民間の在庫が少なければ上がり、多ければ下がる。在庫を多く抱えた売り手は値を下げる。世界共通の相場だけでなく、各国の在庫も取引条件に影響する。

なのです海底油田で落盤 施設段階7から6へ

【資源部】なのです主義人民共和国の海底油田で落盤が起き、施設段階が7から6へ低下し、蓄積量も178減少した。採掘能力の低下が長引けば石油生産に影響が及ぶ。

前期には狐っ娘の尻尾教団のエクアドリア大陸の鉄鉱山でも落盤が起き、段階が10から9に下がった。鉄鉱山に続いて今期は海底油田が被害を受けた。戦時下で資源施設の復旧が重要となる。

各国の交易活動、青海の航海471回に

青海共和国の航海回数は471回、黒潮自治国は244回、緑丘公国は51回。交易指標はあろあろ国3,413、青海共和国2,548、泰平天国2,049となった。

銀嶺侯国は弾薬6を提示価格495で、アルガリスト帝国は石油82を539で、紅峰公国は燃料88を538で売り出した。いずれも売り手の提示価格であり、成約価格ではない。

主要商品の相場
品目前期今期増減
弾薬92.0890.80−1.28
工業品66.5165.52−0.99
木材3.203.200
鋼鉄12120
石油7.27.20
燃料6.86.80
石材5.65.60
鉱石4.84.80
主要国の国庫(億円)
国前期今期増減
なのです5,0177,381+2,364
カペレナ2,1633,933+1,770
オリョルッル10,68411,928+1,244
チェス11,37310,973−400
黒潮11,42011,209−211
主な売り注文
売り手品目数量価格
銀嶺弾薬6495
アルガリスト石油82539
紅峰燃料88538

黒潮の国の食料は892,500トン。旧政府残党は172,000トン。

気象空と海7

北方の積雪域が半減 80区画から40区画に
晴天域は3,913区画に拡大

雨も減少、北国では冬支度続く

第130期の天気図
第130期の天候分布。晴れ3,913区画、曇り3,707区画、雨433区画、雪40区画、雷7区画。

北方に広がっていた雪の区域が、第130期に入って大きく縮小した。前期には80区画を覆っていた雪は40区画となり、半減した。雨の区域も463区画から433区画へ減少。一方、晴天域は32区画増えて3,913区画、曇天域も38区画増えて3,707区画となった。

第127期には42区画だった雪は、第128期に80区画へ増え、第129期も80区画だった。それが今期は一転して縮小したことになる。雷は7区画で変わらず、雨と雪を合わせた区域は543区画から473区画へ減った。

北方では雪の区域が狭まったものの、冬の到来に備える住民の手は休まない。雪の残る集落では、薪や食料の運び込みが続いている。

北の集落、雪の縮小に安堵

北方の山あいの集落では、前期に広がった雪が今期は一部で姿を消した。家々の屋根にはなお雪が残るが、通りには荷車が行き交い、住民たちは冬を越すための薪や食料を運び込んでいる。

村外れの小屋では男たちが積み上げた薪を数え、雨や雪に濡れないよう布をかけていた。「雪が減ったからって、冬が終わるわけじゃない。峠が通れるうちに運べるものは運んでおかないと」。荷車を引いてきた住民は白く残る山並みを見上げた。

前期の降雪で荷運びを控えていた家でも、道の様子を見ながら冬支度を再開している。北国の人々にとって雪の降り方は、薪を切り出す日、食料を買い込む日、遠くの町へ出かける日を決める目安だ。雪の区域は半減したが、集落では忙しい日々が続く。

晴れ渡るエスペランサ 町を治める旗は変わった

エスペランサ皇国最後の首都となったエスペランサは、今期も晴れだった。前期、皇国は二度の首都陥落を経て、この町に三度目の都を置いた。しかし今期、チェス=シロバキア共和国軍によって領有を失い、皇国は滅亡した。

晴れた空の下、町には新たな支配者の旗が掲げられた。つい先日まで皇国の役人たちが慌ただしく出入りしていた庁舎は、いまやチェスの占領下にある。

「昨日も今日も、空は同じように晴れているのに」。通りに立つ住民は、庁舎の方へ目を向けながらつぶやいた。秋の青空は変わらない。だが、その下で暮らす住民たちの国は、もう存在しない。

電都は曇り 各国の首都に異なる秋空

なのです主義人民共和国の電都は曇り。カペレナ王国のカペナグラード、オリョルッル王国の首都、狐っ娘の尻尾教団の首都も曇り。シャンドールにも雲が広がった。

一方、黒潮自治国とチェス=シロバキア共和国の首都は晴れ。モンタルジェントにも晴天が広がった。世界全体では雨と雪の区域が縮小している。各国では収穫物の運搬、家屋の補修、冬に備えた物資の蓄積が続いている。

秋の海、潮目を追う漁師たち

陸上で雪と雨の区域が減る一方、海では暖流と寒流がそれぞれの道筋を流れている。沿岸の漁港では夜明け前から船の支度が始まった。船べりに網を積み、濡れた縄を結び直す漁師たちの姿がある。

「潮目の位置で漁場を変えることもある。昨日よかった場所が、今日もいいとは限らない」。出港を控えた船頭はそう話す。漁師たちは潮の流れや水温、風向きを見ながら船を出す場所を決める。

港には朝の冷たい風が吹き、岸壁につながれた小舟が波に揺れていた。家々からは炊事の煙が上がり、漁に出る家族を見送る人々が岸に集まる。船が港を離れると、漁師たちは沖の海面へ視線を移した。海流図に描かれた大きな流れの中で、小さな漁船たちの一日が始まった。

世界の天候(区画)
天候前号今号増減
晴れ3,8813,913+32
曇り3,6693,707+38
雨463433−30
雪8040−40
雷770
合計8,1008,1000
主な都市の天候
晴れ黒潮の首都、チェスの首都、エスペランサ、モンタルジェント
曇り電都、カペナグラード、オリョルッルの首都、教団の首都、シャンドール
第130期の海流図
暖流と寒流。矢印は海水の流れる方向を示す。
入門第22回8

第22回 領土はどう占領されるのか
統治の安定が1未満で領有変更

歩兵・山岳兵が占領の中心 進出と領有変更には時間差も

今期、チェス軍はエスペランサの町(81,63)を占領し、なのです軍は旧シンジケート連邦政府残党の山を奪った。土地の領有が移る仕組みを、占領の基本から紹介する。

土地の「統治の安定」を下げる

占領できる部隊が他国の土地や持ち主のいない土地に入ると、「統治の安定」が下がる。この数値が1未満になると領有者が変わり、移った後は10に戻る。

部隊が進出した期と、領有が変わる期が異なることもある。部隊の進出と領有変更を一つの出来事として扱わず、土地の持ち主と統治の安定を順に追うことが大切だ。

歩兵・山岳兵が中心、海兵には制限

占領に向くのは歩兵と山岳兵である。海兵の占領は限られる。どの部隊を進めるか、いつ土地の持ち主が変わるかを分けて考える必要がある。

今期の二つの例

エスペランサ皇国最後の首都エスペランサは今期チェス領となった。皇国は三度目の首都を失い、滅亡した。これは交戦記録の損害数とは別の、領有変更の出来事である。

また、なのです軍は残党領の山岳地帯を占領した。戦果として記される兵員の損害と、国境の変化は区別して読むと戦況が分かりやすい。

進出と占領、地図で区別

占領が成立するまでには時間差が生じることがある。ある期に部隊が土地へ入っても、領有変更が次の期以降になる場合もある。地図では部隊の位置に加え、土地の持ち主と統治の安定を見よう。

次回は、港と商船。

占領の基本
占領のきっかけ占領できる部隊の進出
下がる数値統治の安定
領有の変更安定が1未満
領有変更後安定は10に戻る
占領向きの兵種歩兵・山岳兵
海兵占領は限定的
第130期の例
エスペランサ(81,63)皇国領からチェス領へ
残党の山なのです領へ
国特集銀嶺9

銀色の尾根に朝市の賑わい
銀嶺侯国を訪ねて

首都モンタルジェント、銀細工と乳製品の町

モンタルジェントの朝市。銀の杯と白いチーズが台に並ぶ。
モンタルジェントの朝市。銀の杯と白いチーズが台に並ぶ。

朝の日差しを受け、銀灰色の山並みが淡く輝く。銀嶺侯国の首都モンタルジェントでは、尾根から吹き下ろす冷たい風とともに一日が始まる。

坂道に沿って石造りの家々が並び、その間を縫う通りには朝早くから商人や買い物客が集まった。銀色の杯、磨き上げられた匙、木箱に収められた装飾品。市場には金属細工が並び、向かいでは白いチーズや搾りたての乳が売られている。

銀嶺侯国は「銀の尾根に守られた侯国」を掲げる人口92,100人の国。現在、他国との戦争は行っておらず、首都は晴れ。世界各地で戦争が続く中、山あいの侯国では今日も工房と商店が戸を開いた。

銀杯を磨く職人たち

市場の一角では銀細工師が朝から杯を磨いていた。作業台には手のひらに収まる杯から食卓に置く大ぶりのものまで、大きさの異なる品々が並んでいる。

細工師は布を指に巻き付けて杯の縁をゆっくり磨き、窓からの日差しを反射させて曇りを探した。「銀は磨けば光るが、光っているから仕上がったというわけじゃない。縁に指を当ててみなさい」。差し出された杯の縁には引っ掛かりがなかった。

「口をつけるものだからね。見た目より、まず使い心地だよ」。金属を薄く延ばし、形を整え、長く使えるように仕上げる。小さな杯一つにも幾度もの作業が重なる。食卓や祭礼で使われ、親から子へ受け継ぐ家もあるという。

山の風が育てるチーズ

銀細工の店の向かいには、乳製品を扱う商人が店を出していた。丸く固めた白いチーズが木の台に並び、切り分けた断面から乳の香りが漂う。

「柔らかいうちに食べるなら、こっち。少し置いたものが好きなら、こちらを持っていきなさい」。主人は二種類のチーズを客に勧めた。山あいの集落では家畜の乳を加工する暮らしが受け継がれ、柔らかなチーズはその日の食卓へ、保存するものは熟成させる。

山からの荷車にはチーズ、乳の容器、干した草、木製の道具が積まれていた。坂の食堂では温めた乳が銀杯に注がれ、焼いたパンにチーズを載せて食べる朝の客で賑わった。金属細工と乳製品が、この市場では自然に隣り合っている。

山道を越えて届く荷

首都と山の集落を結ぶ道には朝から荷車が行き交う。細い道では二台がすれ違えず、一方が道端に寄って相手を待つ。荷運びの男は車輪の泥を棒で落としながら言った。

「下りはいいが、帰りは坂がきつい。町で売る品より、帰りに積むものを考えなくちゃならない」。山から乳製品や手仕事の品が運ばれ、町からは布や塩、生活道具が持ち帰られる。険しい地形の中で町と集落を結ぶ交易の道が暮らしを支えてきた。

侯国の財政、国庫6,035億円

銀嶺侯国の人口は92,100人、兵力は20,000人。国庫は6,035億円、国の食料備蓄は753,700トン。働き手の不足はなく、領地は11区画。他国との戦争も行っていない。

今期の交易市場には、銀嶺侯国から弾薬6が提示価格495で売りに出された。朝市に並ぶ銀杯やチーズとは異なり、弾薬は軍需物資。同じ侯国の中に日々の食卓を支える商いと、遠方の戦場にも関わる商品取引が共存する。

尾根に日が昇るころ

昼が近づくと市場の人通りはさらに増えた。職人は仕上がった杯を布に包んで木箱へ収め、隣ではチーズを買った客が坂道を上っていく。銀灰色の尾根には日が差し、山腹の陰が短くなっていった。

商人が荷を運び、職人が品物を仕上げ、家々から食事の匂いが漂う。モンタルジェントの一日は、今日も変わらぬ営みの中で過ぎていく。

銀嶺侯国
首都モンタルジェント
人口92,100人
兵力20,000人
国庫6,035億円
国の食料備蓄753,700トン
人手不足0人
領地11区画
首都の天候晴れ
対外戦争なし

小欄 銀杯の手入れ

モンタルジェントの銀細工師は、杯を使い終えたら柔らかな布で汚れを拭くよう勧める。

銀の表面は使い続けるうちに曇るが、磨き直せば光沢を取り戻す。「傷が付くほど強くこすらないこと。長く使うものだからね」。朝市では古い杯の磨き直しを頼む客もいる。

文化金野10

麦の実りを待つ風車の町
シャンドールの秋

金野伯爵領、収穫迎える農村の暮らし 郷土文学『穂の数え違い』を読む

シャンドールの麦畑。風車の下で、穂を束ねている。
シャンドールの麦畑。風車の下で、穂を束ねている。

金野伯爵領の首都シャンドールでは、町の外れまで麦畑が続く。秋の曇り空の下、黄金色の穂が風に揺れ、畑の向こうでは大きな風車がゆっくり回っていた。

収穫を控えた農家では刈り取りの道具を整え、穀物を運ぶ袋や荷車を用意している。畑に出ていた一家は刈り取った麦を束ねて道端に並べていた。「風が強くならないうちに済ませたいね。これだけ実ったんだから、きちんと倉に入れてやらないと」。麦束を抱えた農夫はそう話した。

畑で育った麦は乾燥させて粉へ挽かれ、パンとなって町の食卓に並ぶ。農夫、荷運び人、製粉職人、パン職人らの仕事が一粒の麦を食べ物へ変える。

風車が回す、町の製粉所

シャンドールの風車は遠くの畑からも見える町の目印。石造りの塔の上で羽根が風を受け、建物の中では木製の歯車が軋み、重い石臼が麦を挽いていた。

製粉職人は粉の落ち具合を確かめながら袋を替える。「風が弱ければ仕事は進まない。強すぎても困る。ちょうどいい風が吹いてくれるのが一番だ」。製粉所の脇には粉を受け取るパン職人の荷車が停まり、袋は昼過ぎに町の窯へ運ばれた。

焼き窯から広がる麦の香り

シャンドールの朝には焼きたてのパンの香りが漂う。石造りの窯から丸いパンが取り出され、木棚に並べられた。パン職人は一つを手に取り、底を軽く叩いて焼き具合を確かめる。

「同じ粉でも、水の加減や窯の火でずいぶん違う。毎日焼いていても、まったく同じものはできないよ」。買い物に来た母親はパンを二つ選び、布で包んでもらった。学校へ向かう子供たちは窯をのぞき、小さな昼食用のパンを買っていった。

郷土文学『穂の数え違い』

シャンドールでは麦畑を舞台にした短編小説『穂の数え違い』が読まれている。著者は名を明かしていない。主人公は収穫を手伝う若い娘だ。

娘は麦束の数を帳面に記していた。ある日、畑から運ばれた麦束を数えると、帳面の数字と合わない。誰かが運び忘れたのだと思い、畑、荷車、倉を調べ、家族にも尋ねる。だが、誰も麦を持ち去ってはいなかった。

それでも帳面の数字だけが合わない。間違いを報告すれば一日かけた仕事をやり直すことになる。娘は自分の数え違いを認めたくなかった。夕暮れが近づき、とうとう麦束を一つずつ解いて数え直し始める。

父親は黙って隣に腰を下ろし、母親も倉から戻って束を並べた。三人が数え終えたころには、畑の向こうで風車が止まっていた。足りない麦束は一つもない。間違っていたのは最初に帳面へ書いた数字だった。娘が古い数字を消し、新しい数字を書き込むところで物語は終わる。

読者が語る、間違いを認める難しさ

『穂の数え違い』には大きな事件も劇的な結末もない。読者の心を引くのは、娘が間違いに気付いてから、それを認めるまでの時間だ。何度も帳面を見直すが、数字を書き換えることだけはできない。仕事で失敗した人なら覚えのあるためらいが描かれている。

町の読書会では父親が娘を責めなかった理由が話題になった。「間違いは誰にでもあると分かっていたからでしょう」と年配の女性。「父親も昔、同じような間違いをしたんじゃないでしょうか」と青年が応じた。物語に父親の過去は記されていない。それでも黙って麦束を数え直す姿に、読者はそれぞれの思いを重ねた。

詩「穂の音」

風車の羽根が空を切る
畑の端で麦が揺れる
ひと束ほどいた娘の手に
夕暮れの光が落ちる

数えたはずの麦の穂を
もう一度、並べ直す
昨日の風を覚えていても
今日の風は数えられない

石臼の音が遠くなり
倉の戸が静かに閉まる
帳面に残る小さな跡を
指でなぞって夜を迎える

明日の朝にはまた風が吹き
畑に人の声が戻る
名もない一日の仕事から
新しいパンが焼き上がる

麦畑の向こうに灯る町

夕暮れが近づくと畑から戻る人々が増えた。荷車には麦束が積まれ、道には乾いた穂が落ちている。風車の羽根はゆっくり回り、やがて止まった。町のパン屋では翌朝の仕込みが始まっている。

金野伯爵領の人口は81,500人、国庫は6,200億円。他国との戦争は行っていない。世界各地では戦争や火災が相次ぐが、シャンドールでは今日も麦を収穫し、粉を挽き、パンを焼く。日が落ちた畑の向こうで、町の窓に明かりがともり始めた。

金野伯爵領
首都シャンドール
人口81,500人
兵力20,000人
国庫6,200億円
国の食料備蓄558,500トン
首都の天候曇り
対外戦争なし
今週の一冊
書名『穂の数え違い』
著者無署名
舞台シャンドールの麦畑
内容麦束の数え違いを認められず、家族とともに仕事をやり直す娘の物語
主題間違いを認める勇気と家族の静かな支え